こんにちは、セントです。
今回は、アメリカはなぜ中国に貿易戦争を仕掛けるのか?そもそも、なんで始まったのか?について、おさらいの意味で解説していきます。
2017年の1月にトランプ大統領就任以来、アメリカの対中貿易赤字を問題視していました。
しかし大統領就任前というのは、具体的な制裁措置は行われていませんでしたよね。
それがなぜ、この2年間でこんなにも制裁措置が行われ始めたのか?そして、中国もアメリカに対して追加関税で報復し、米中貿易戦争が加熱していますよね。
その発端となった背景について、少し深掘りしていきますね。
2018年3月
アメリカ政府は、中国の制裁措置に本腰を入れるために、2018年の3月にトランプ政権の人事を大きく変更しました。
まずは、ハーバート・マクマスター大統領補佐官を解任して、超タカ派のジョン。ボルトン氏を後任におきました。
そして、同じく2018年3月、レックス・ティラーソン国務長官を解任して、マイク・ポンペオ氏を任命しました。
ティラーソン氏は、アメリカの石油会社最大手の、エクソンモービルの前会長兼CEOで、アメリカの「1つの中国政策」の維持を主張していました。
簡単に言えば、今まで通り仲良くやっていこうね。という考え方でした。
その人物を解任して、強硬派を国務長官においたのです。
ちなみに、新しく国務長官になったポンペオ氏は、CIAの長官です。
CIAというのは、(中央情報局)であり、スパイなどを使って、他の国の情報を集めたりしています。
このような人事の入れ替えについて、たくさんのニュースや新聞などでは、トランプ政権が崩壊するのではないかなどと報道されていましたが、トランプ大統領がもともと目指していた形になったと言えるでしょう。
トランプ大統領の政策
もともとトランプ大統領は、移民の問題と同じように、世界各国の貿易摩擦を問題視していました。
そして特に中国は、貿易赤字が大きくなっており、早めに何とかしたい問題でした。
しかし、トランプ大統領はもともとは政治家ではなかったので、やりたい政策に対して、人手不足になっていたといわれています。
そしてトランプ大統領自身が目指す体制を、1年以上かけて作ってきました。
トランプ大統領の行動の速さ
トランプ大統領が就任すると、自らが掲げた「100日計画」に従って、すごいスピード感で、大統領令を実行していきました。
例えば、TPP(環太平洋パートナーシップ)からの離脱もあったし、難民の受け入れを停止したり、たくさんありました。
そして、反対派が多すぎてなかなか実行できなかったのが、メキシコとの国境に壁を作ることと、貿易摩擦問題の解決でした。
アメリカ合衆国の焦り
アメリカは、金融や、貿易、軍事などの、お金や技術において中国に対して、優位性を保っています。
しかし、中国の経済の拡大は目覚しく、このままでは近い将来、保っている優位性が崩壊してしまう可能性があると感じています。
だから、優位性があるうちに、中国をコントロールする必要があるわけです。
そのアメリカ合衆国の焦りが、今の米中貿易戦争が起こった理由です。
ZTEとの取引の禁止と5G技術
アメリカ経済にとって、通信技術というのはとても重要なものです。
そして、高速通信の新しい技術となるのが「5G」(第5世代移動通信システム)です。
この開発を巡り、アメリカのIntelとか、クアルコムなどと協力していたのが、中国のファーウェイ(華為技術)やZTE(中興通訊)でした。
しかし、アメリカは通信技術を他の国にとられてしまうわけにはいかず、そういった企業をアメリカから排除する必要があったのです。
ブロードコム
そして、2018年3月にシンガポールに本拠地をおく世界第6位の半導体メーカーのブロードコムがアメリカのクアルコムを買収するという動きがありました。
しかし、アメリカはクアルコムを買収することを大統領令によって禁止して、買収の話をないものにしました。
理由は、「国家安全保障上の脅威」というものでした。
これは、衝撃的でしたね。
企業の買収に対して、国が首を突っ込んできたんですから、大きな動きでした。
中国の動き
面白いことに、中国の携帯電話メーカーは、次々とこの買収に反対をしており、この買収が成立したら、経営が苦しくなるというような意味合いの声明を発表しました。
ブロードコムという会社は、もともとアメリカの企業でしたが、シンガポールの企業に買収された過去があります。
そして、この会社には中国華僑の資本が莫大に入っていると言われており、バックには中国政府が影響を与えてると言われています。
5G技術をめぐって、シンガポールを舞台にこんなやりとりがされていたなんて、なんかすごいですよね。
そして、アメリカと中国の狙いを、ひしひしと感じますね。
ZTEとファーウェイ
アメリカは、ZTEとファーウェイのアメリカでの動きに対して、押さえる必要がありました。
そして、2018年4月16日に、アメリカ商務省から、「アメリカ企業からのZTEへの製品の販売を7年間禁止する」と命令を発表しました。
このようにして、中国企業に対して規制に乗り出したのです。
ZTEの前科
ZTEという会社は、2010年から2016年にわたって、アメリカが禁止をしていた、イランや北朝鮮に対して、アメリカの通信機器を輸出していました。
ダミー会社を使うなどしていて、悪質なものでした。
珍しいことに、ZTEはこの不正行為を認めており、2017年3月にアメリカに11億9,000万ドルもの罰金を支払うことで合意しました。
逃げられない証拠を、アメリカはZTEに突き付けたのは明確でした。
しかし、合意の中にあった、「輸出違反にかかわった社員の、報酬の減額」という項目を守らずに、虚偽の報告を続けていたので、アメリカは新たな制裁に踏み切りました。
このような背景があったので、アメリカは中国企業に対して、制裁をするのは、理にかなった行動であると認識されています。
そして、これらを背景にして貿易戦争へと突入していくわけです!
まとめ
今回は、米中貿易戦争の発端となった背景について、話をしてきました。
米中貿易戦争の根底には、貿易赤字解消という表の理由ももちろんあるのですが、通信技術を中国にとられるわけにはいかないという、アメリカの狙いが垣間見えますね。
確かに、中国企業というのは、バックに中国政府がついていて、資金面やビジネスの融通に関して、相当な優位性をもっています。
次回は、ZTEやファーウェイなどの、中国企業について解説していこうと思います。
今日も、ブログを読んでいただきありがとうございました。