こんにちは、セントです。
米中貿易戦争において、アメリカ政府は、ZTEや、ファーウェイに対して、国家機密が盗まれてしまう恐れがあるとして、アメリカ企業との取引の禁止措置をとりました。
今回は、その後、中国がどのようにアメリカに対して反撃をしていったか、ということについて話をしていこうと思います。
ニュースだけを見ていると、貿易関税のかけあいのようなイメージをもちますよね。
しかし、2018年の11月に中間選挙を控えたトランプ大統領は、何か手柄がほしいという状態でした。
このあたりの話を、深堀していこうと思います。
中国の反撃
アメリカという大きなおおきなマーケットで、ZTEとファーウェイという、中国を代表する会社がいじめられました。
すなわち、全世界に向けてアメリカが中国の顔に泥を塗った状態になりました。
このようなことをされて、もちろん黙っている中国ではありません。
アメリカから、中国に輸入している、モノや食品も世界トップクラスの取引量なので、中国政府はそこを、狙いました。
通関検査の遅延
フォード車
中国は、アメリカの大きな産業である、自動車産業と穀物や農産物に対して、通関検査をわざと遅らせて大きな問題となりました。
中国の港には、アメリカ産のフォード車で溢れました。
自動車産業というのは、基本的にはジャストインタイム生産という生産システムを採用しています。
どういうことかというと、生産から販売するまでをトータル的にコントロールし、生産システムを稼働させています。
だから、中国に車が入らなくなると、販売店では車が足りなくなり、また生産をするアメリカでは車を製造できない状態になってしまいます。
さらに、車を積んだままの船が停滞して、毎日の滞船料(決まった期間をすぎて利用した場合の追加料金のようなもの)も相当大きな金額になったと言われています。
まぁ、アメリカの自動車産業にしてみれば、大打撃だったわけですね。
食品
中国に輸入される食品の検査は、遅くても2日程度で終わるといわれています。
しかし、この期間中には約1週間程度かかるように遅延され、アメリカ産の、柑橘類やチェリーなどの果物は大量に港で、腐ってしまう事態を引き起こしました。
また、中国国内のアメリカ系企業の管理を厳重化し、中国系アメリカ企業は、アメリカ政府に反撃すべく、いろいろな対策をしました。
トランプ大統領の状況
半年後の、2018年11月にアメリカ大統領中間選挙を控えていたトランプ大統領は、厳しい選択を迫られていました。
そして、2018年5月14日にトランプ大統領は行動にうつります。
ZTEは「アメリカ企業の大切な大口顧客」であるとして、アメリカ政府が発表した制裁内容の見直しを商務省に通達しました。
トランプ大統領の発言によってZTEへの制裁解除が期待されましたが、アメリカ議会は猛反発し、民主党、共和党ともに制裁解除には反対する形になりました。
しかし、最終的には6月7日にZTEに対して、制裁の解除が行われました。
ですが、以前支払った、莫大な金額の『8億9,200万ドル』に加えて追加で『10億ドル』を支払うことで合意しました。
さらに、『4億ドル』の預かり金(また違反があったら、ここから徴収する)と、違反があった場合取締役会の解散と経営幹部などの全員の入れ替えも、付け加えられました
すごい金額ですよね!
中国の狙い
中国は、通信機器に力を入れてきました。
ファーウェイをはじめとして、ZTE、シャオミー、OPPO、Lenovo、などまだまだたくさんあります。
携帯電話を作ることには、世界一のシェアをもったわけです。
しかし、次に目指すのは、「オール・メイド・イン・チャイナ」
今の言い方でいえば、「メイド・イン・PRC」でしょうかww
「made in China」という表記が、あまりにも人気がないために、最近では「made in PRC」と表記されることが多くなってきています。「made in People’s Republic of China」(中華人民共和国)の略です。
これは、アメリカ企業のインテルやクアルコム等に頼らずとも、半導体の生産を中国国内でしたいと思っています。
2017年中国の半導体メーカー買収
中国ではすでに半導体を作ることはできています。
しかしその前の、半導体を作るための製造機を作る技術はありません。
この技術というのは、アメリカ、日本、ドイツの三ヶ国がほとんどを独占していて、中国にこの技術を渡すわけにはいかないのです。
中国系ファンドの、キャニオン・ブリッジ・キャピタル・パートナーズによって2017年、アメリカの半導体メーカー、ラティス・セミコンダクターに対して三度、買収申請がされました。
しかし、どうしても半導体の技術を渡せないアメリカは、ついに買収をさせない大統領令を出しました。
日本の半導体メーカーがつぶれないのは、このような世界最高水準の技術を握っているからであり、もしも中国がそのは技術を持ってしまったら、日本企業はたちまち潰れてしまうかもしれません。
また、シリコンウェハーなどの、基礎材料を製造する技術もありません。
シリコンウェハーの技術を持っているのは、日本であり、SUMCOと信越化学だけで、世界シェアの6割以上をもっています。
シリコンウエハー
半導体製造には欠かせない、シリコン(ケイ素)で作られた薄い円盤状の板
まとめ
今回はアメリカによって仕掛けられた、米中貿易戦争の中国の反撃について話をしてきました。
見方を変えると、アメリカは中国に対して、無茶な要求をしているように見えますよね。
しかし、アメリカがどうしても渡せない技術というのがそこにあり、いつも「安全保障」と、「知的財産権」か脅かされるという理由で、渡さないようにしています。
しかし、世界の企業の買収というのは、公平に行われる必要があって、政府が介入するのには限界があります。
今後どのように収束していくのか、しっかりと見届けましょう。
今日も、ブログを読んでいただきありがとうございました。