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【香港】2019年香港区議会選挙、民主派圧勝だが変われない理由!行政長官の選出、デモ隊が暴れる理由徹底解説!

セント

こんにちは、Centです。
今回は、香港の選挙制度について詳しく解説していこうと思います。その流れから、デモ隊がなぜ破壊行為をするのか?も解説します!

先日、日本の参議院選挙の日に、香港のデモシスト『周庭(アグネス・チョウ』さんがこのようなツイートをしていました。

香港には直接選挙がありません。

しかし今回、香港区議会選挙で民主派の圧倒的勝利で終わったというニュースが、報道されました。

選挙がないはずなのに、選挙をして区議会議員たちが選ばれているというのはどういうこと?と、わからなくなってしまっている人もいると思うので、その辺を深掘りして解説していきます。

これを読めば、周庭さんの言っていることが、全て理解できるようになります。

まずは、周庭さんのYouTubeを見て「香港のいま」に興味を持ってくれると嬉しいです。

それでは解説していきますね!

 

香港区議会

日本では、香港の区議会選挙で民主派が圧倒的勝利を収めたことが大きな話題となりました。

日本人の感覚では、日本での民主党が自民党を破ったときのような、大きな報道のされ方をしていますが、まだまだ民主派の圧倒的な不利な立場は変わりません。

この上の表では、2019年11月24日に行われた香港区議会選挙の結果が書いてあります。

赤色は、親中派。緑色が香港人の権利を求める民主派です。

この表を見る限り、私たち日本人の感覚では、香港に大革命が起こるようなイメージをしてしまいますが、じつはそうも言っていられないのが現状です。

しかし、なぜこれだけの人が香港人の権利や、独立を求めているのに香港の制度は変わっていかないのでしょうか?

結局、今回の区議会選挙では民主派が85%以上の議席を獲得して、民主派が圧倒的勝利を収めました。


区議会の役割

任期は4年間です。

区議会は、予算の承認や条例の制定といった議会に必要な権限をもっていないんです。

実質的な権限がないため、行政に対する影響力はすごく小さいと言えるでしょう。

公共施設(文化や娯楽)・サービスの運営や都市計画などに関して、政府に意見を陳述する程度の機能しか与えられていないんですよね。

より住みやすい環境を作っていこうというのが議会なので、逆に香港住人との距離はすごく近いとも言えるでしょう!

このことから、香港人が区議会の選挙の結果によって、民意というのがわかりやすく結果に出るといわれています。

そして今回、初めて民主派が、親中派よりも多い議席を獲得したのです。

がんばれ香港


区議会の選出方法

18歳以上の香港市民に選挙権が与えられています。

民選議員は現在、小選挙区制により選出されていますが、選挙によって選ばれる民選議員のほかに、任命議員や兼職議員も存在していました。

委任議員は1995年、パッテン改革により一度廃止されたが、返還後に復活した(全区議会中102名)。
任意議員の102名は、ほとんどが中国共産党のイキのかかった人たちが選出されてくるので、今までの区議会自体が中国共産党主体のようなものでした。
しかしよくよく考えてみると、任意議員ってなんやねん!て話になりますが、香港のルールは全てが中国共産党有利にできているのです。

2013年で立法会は区議会条例の修正案を可決し、16〜19年度の区議会は委任議員を全部廃止した。

また、選挙区は1万7千人を基準人口として設置されているので、大きな団地一つ分が一選挙区となり、区議会議員は住民との物理的な距離が極めて近いということが特徴です。

また、区議会の権限は限定されているので、重要視されていないため、一般的に投票率低いといわれています(約40%〜45%水準)。

しかし、今回の区議会選挙では香港人の関心が高まっていたために、投票率は過去最高の71%を記録しました。

区議会選挙は全て直接選挙なので、今回の選挙結果は香港の自由と独立を望む香港人がほとんどだったと言う事ですね。



親中派の投票前、投票日の動き

ここでは少し、本当か嘘かわからない話になりますが、親中派の投票前、投票日の動きを見ていきましょう。

https://twitter.com/BruceWayne852/status/1198535266903834625

ツイッター上では多くのリーク情報が出ています。

親中派が寝具を無償で配っていたり、お米を配っていたり、明らかな選挙法違反をしている姿も見つかっています。

他にも、誰に投票していいかわからない老人たちが集まる老人ホームに選挙当日にバスで迎えに行って、投票してもらって、その後に飲茶を無償でおごるツアーを組んでいたなどの情報も出ています。

日本でいう、お年玉のような紅包(ホンバオ)を配ったりする姿も、ツイッターでは報告されています。

ここについては、ノーコメントで次にいきましょうww

次は、選挙委員会について話していきますね。



選挙委員会

選挙委員会(Election Committee)は、香港独自の選挙制度の一つです。

各級の議員や、職能団体や社会団体から選出された委員により構成される。定数は1200名。委員の任期は5年。

行政長官はこの「選挙委員会」から選出されるのです。

香港の様々な業種や職業の中から合計で約1200人が選挙委員会に選ばれます。

今回の、区議会選挙の大勝利は85%の議席を取りましたが、割合から考えても、1,200人中100人程度が区議会から選ばれてもまだまだ香港が劇的に変わるというのは難しいでしょう。

2016年に改正され、委員が定員1194名となっておりの選出枠の内訳は以下のとおり。

企業・産業界:小計299名

  • 保険業界(18)
  • 航運交通業界(18)
  • 不動産業界(18)
  • 旅行業界(18)
  • 商業界(第一)(18):香港總商會の所属企業・団体
  • 商業界(第二)(18):香港中華總商會の所属企業・団体
  • 工業界(第一)(18):香港工業總會の所属企業・団体
  • 工業界(第二)(18):香港中華廠商聯合會の所属企業・団体
  • 金融業界(18)
  • 金融サービス業界(18)
  • 輸出入業界(17)
  • 紡織および衣料業界(18)
  • 卸売および小売業界(18)
  • ホテル業界(17)
  • 飲食業界(17)
  • 香港僱主聯合会(16)
  • 香港中国企業協会(16)

専門職:小計300名

  • 教育関係者(30)
  • 弁護士(30)
  • 会計士(30)
  • 医療(30)
  • 衛生サービス(30)
  • エンジニア(30)
  • 建築・測量および都市計画(30)
  • IT(30)
  • 高等教育関係者(30)
  • 中医(漢方医)(30)

社会団体など関係者:小計300名

  • 漁業農業界(60)
  • 労働組合(60)
  • 社会福祉(60)
  • スポーツ・芸能・文化および出版業界(60)
  • 宗教関係者(60):

各級議会議員など:小計295名

  • 新界各区議会(60)
  • 立法會(68)
  • 港九各区議会(57)
  • 全国政治協商会議香港地区委員(51)
  • 全国人民代表大会香港代表(33)
  • 郷議局(26)

香港のビジネスや、スポーツの業界は中国企業からの恩恵の割合がとても大きいので、親中派にならざるを得ない状況は変わりません。

中国からの独立は望むけれど、ビジネスなどの繋がりは絶対に切ることができないのが、今の香港の状況です。

さらに、中国政府からにらまれたら、商売上がったりどころか命の危険すらあります。

この中から、行政長官が選ばれるわけですから、香港独立派がトップに立つのは険しい道のりです。

さらに、香港独立派がトップに立つの難関だという理由を次の「行政長官の選出」で話していきます。



行政長官の選出

行政長官は香港基本法の規定に基づき、選挙委員会により選出され、中央人民政府(国務院)により任命されます。

同委員の選挙権は香港住民の一部に限られるため、行政長官選挙は間接制限選挙だといわれています。

んっ!?中国国務院?に任命されるの?

そうなんです、中国政府からOK!っていわれないと香港のトップになれないんです。

中国政府は、香港を完全に中国の一部にしたいわけですから、中国政府の方針とは異なる香港独立派の人が行政長官になることは出来ないんですね。

セント

これこそが、『周庭』さんが、「香港に民主的制度はない」という理由です!

だから、結局は中国政府の思い通りにしか政治は作られていかず、親中派有利に全ては進んでいくんです。

さらに条件がいくつかあります。

行政長官になるための条件
  • 選挙委員100名以上からの推薦
  • 選挙委員の有効投票数の過半数を得た者が当選
  • 該当者がいない場合は、最高得票者同士もしくは、上位2位(同点2位が複数いる場合を含む)の間で、再投票

1200名は、ほとんどが中国とビジネスをしているなど、香港独立派を推薦することなど、自分の首を絞めることになります。

そして、立候補は中国当局の同意が必要であり、投票権は親中団体のみに与えられる構造となっている。

そのため香港人の不満は強く、普通選挙を求めてのデモが繰り返し実施されています。



デモ隊が破壊行為をする理由

デモ隊が、香港の地下鉄や電車、吉野家、スターバックスコーヒー、などを破壊している報道を目にしたことがある人も多いと思います。

これは、吉野家やスターバックスコーヒーが嫌いなわけではなくて、そのバックにいる香港企業が、親中派で選挙委員の中でもかなり大きい力を持っているからと言われています。

簡単にいうと、この人たちが中国政府と繋がっているので、この人たちがチカラを持っているうちは、香港は変わらないんですね。。。

そしてデモ隊を批判して、煽るような発言も権力者から出ており、デモ隊が破壊行為をして、警察がそれを取り締まるという構図を作っています。

このような流れにしておけば、デモ隊を取り締まる理由ができるわけで、片っ端から逮捕をしても、世界的に見て「暴れてるのが悪い」という印象が残るわけです。

このことがわかってないので、破壊行為はダメだとか、電車や空港を止めて一般市民が迷惑する行為は最低だと批判する人も多いのです。



まとめ

今回は、香港の区議会選挙の民主派大勝利の結果から、区議会、選挙委員会、行政長官の選出、デモ隊が暴れる理由などを説明してきました。

どうだったでしょうか?

現在の香港は、表向きには自由度の高い場所に感じるとは思いますが、中国政府の管理下に置かれています。

今現状のままでは、香港人の民意が政府に届く事は無いシステムなので全ては中国政府のさじ加減と言うことになります。

特に若い香港人の人たちは、このことがどれだけ世界的に問題がある状態なのか感じているのでしょう。

香港の自由のため、香港の未来のため、香港人の民意が政治に直結するようになる日が来るまで、デモは続きます。

周庭さんが、日本人は民主的制度(みんなで平等に決める)があるから、しっかり投票に行きましょうと言うのも、すごくわかりますね。

勉強になった、ためになったと言う人は、ぜひリツイート等で拡散していただけるとうれしいです。

1人でも多くの人に、現在の香港を知ってもらえますように!

今日も、ブログを読んでいただきありがとうございました。