こんにちは、セントです。
今回は、最近「香港株式市場」に不穏な動きが目立ってきているので、話をしていこうと思います。
実は、最近「香港上場企業」による株式の非公開化(Going Private)が目立ってきているんですよね。
上場会社が、株式公開買付(TOB)を通じて完全子会社化し、上場を廃止すること。
株式投資の初心者の人もいると思うので、株式の非公開化のメリットとデメリットを先に話していこうと思います。
株式非公開化のメリット
株式を非公開化する会社というのは、実は結構あるんですよね。
せっかく上場したのに、なんで株式を非公開化して、上場を廃止するのか?知っていますか?
そんな、株式非公開化が有効的な経営戦略として扱われていることが多くなってきてるんですね。
株式非公開化は、「ゴーイングプライベート」とか、「プライベタイゼーション」とも呼ばれています。
普通の感覚からしたら、理解し難いかもしれませんね。
- 安定化した資金調達
- 大きなステータスになる
- 会社の格が上がる
- 信用性の向上
株式非公開化のデメリット
最近の傾向として、株主重視の流れが世界中にあります。
もちろん、資金を投資してもらえることは、上場の最強のメリットなんです。
しかし、株主の意見を聞かなければならなくなり、何かと要求をつきつけられれば「会社の経営の舵取りがやりにくくなる」わけですね。
だから、少数の株主を排除して、より自由な会社の経営をしたいときには、株式の非公開化をするんです。
- 意思決定の迅速化
- 会社運営の円滑化
- 事務作業の効率化
- 買収防衛策
ここで、買収防衛策についてだけ、補足しておきたいと思います。
買収防衛策
株式公開を行うということは、敵対的買収を仕掛けられるリスクを常に背負い続けることでもあります。
株式が公開されていると誰でも取得することが可能になるため、もし敵対的買収を考えている会社がいればターゲットにされてしまうリスクが発生します。
だから、株式非公開化は、ある意味「究極的な買収防衛策」です。
敵対的買収の件数が少なくなっていますが、それでも経営権を守るために株式非公開化を行うことは有効的な戦略だといえるでしょう。
香港市場での動き
- 2020年1月10日
大昌行集団が、筆頭株主の中国中信(00267)によるTOBで上場廃止 - 風力発電事業者の華能新能源(00958)
- 電子製造などを手掛ける中航国際控股(00161)
- 農産物加工大手の中国糧油控股(00606)
なども、2019年後半に非公開化を発表して、手続きを進めている。
TOBでは一般株主の応募を促すべく、計画発表時の株価を大きく上回る水準で買付価格が設定されるため、発表直後に株価が急騰する。
大昌行集団のときには、株価を38%上回る水準で提示され、翌日の取引で30%超の大幅高となった。
そりゃ、今の値段よりも38%高い価格で売れるなら、ノーリスクで取れるわけですから、小さな株主はみんな売りたくなりますよね。
発表直前の1カ月間でも15%程度の上昇と、不自然な値動きをみせていたので、非公開化を見越した買いが入っていたことが考えられますね。
「非公開化銘柄」の動向は中国本土の個人投資家の間でも関心が高く、ネット上では「次の非公開化銘柄」を探そうとする分析記事が散見される。
19年の株式非公開化の上場廃止は過去最多
2019年は、香港市場で10社が株式非公開化で上場廃止となりました。
これは、年間ベースで過去最多を記録した。
実施した銘柄の傾向は、
- 招商局集団傘下の中外運航運
- 国家電力投資集団傘下の中国電力清潔能源発展
- 中国電子信息産業集団傘下のTPVテクノロジー
など、中国政府が直接監督・管理する「中央企業」が親会社・筆頭株主だったものが何社も上場を廃止したのです。
最初に紹介した、非公開化の手続きを進めている華能新能源、中航国際控股、中国糧油控股も「中央企業」なんですね!
メリット、デメリットでも紹介したように、上場企業が株式の非公開化に踏み切る理由は、
- 株価低迷による株式流動性の低下
- 上場を維持するための費用削減
- 経営自由度の向上
などが考えられますね。
しかし、中央企業と呼ばれている、政府系の企業がこのような正常な取引をしているのかも、結構謎なところですよね。。。
インサイダー的な動きも、結構見えるので、どこまで公平状態になっているかというのも、怪しいですねww
香港市場での非公開化の方法
株主総会の採決で75%以上の賛成
(10%未満の反対)
→その後に、、
一定期間内に買付者が全体の90%以上の株式を取得する
未公開化の失敗
香港市場では、8割程度の確率で非公開化が達成するとされています。
しかし、「中央企業」系発電設備メーカーのハルビン電気(01133)のように失敗することもあります。
同社は18年12月に親会社による非公開化に向けたTOB計画を発表しました。
株主総会の承認を得たものの、親会社の買い付けの段階で応募数が条件に到達できず、19年7月に計画を中止した。
なんと、買い付けの提示価格は、発表時の株価に80%超上乗せした水準だったんです。
なのに、目標まで達成できなかったんですね。
募集延期や計画中止が発表されると失望売りが強まり、株価は計画発表時を下回る水準まで下落した。
TOBで提示された買付価格は、発表時の株価を平均35%上回る水準に設定されているという。
「次の非公開化銘柄」を探す
国有企業の株式非公開化の流れは今後も続くとみられています。
株価急騰を狙う一部投資家は「次の非公開化銘柄」を探したくなりますよね!
そこで、最近の非公開化の国有企業の特徴をまとめておきたいと思います。
- PBR(株価純資産倍率)が0.9倍以下
- 親会社・支配株主の持ち株比率が50%以上
- 時価総額が20億-300億HKドル規模
- 3カ月の平均売買代金が100万HKドル以下
そんな、条件から、非公開化にされるかもしれない銘柄のピックアップをしてみました。
- 大手発電設備メーカーの東方電気(01072/600875)
- 大手造船・設備メーカーの中船防務(00317/600685)
- 中国大唐集団傘下の大唐新能源(01798)
- 中国華電集団傘下の華電福新能源(00816)
- 国家能源集団傘下では龍源電力(00916)
- 北京市政府系のクリーンエネルギー企業、京能清潔能源(00579)
まとめ
今回は、『香港に不審な動き。国有企業の株式非公開化ラッシュが加速しているのはなぜ?次の非公開化株をゲットしよう!』というテーマで、話をしてきました。
非公開化が発表される前に、株を持っているだけで、最低40%くらい利益が望めるなら、探したいところですね。
今回の話を参考にして、香港株に興味を持っていただけると嬉しいですね。
中国企業が絡むことは、マイナスにもなり得るんですが、大きなプラスにすることもできるんですね!
株式投資は、いろいろなことがあって面白いですね!
それでは、またお会いしましょう!