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【手数料無料化の落とし穴解説】個人投資家は仕組みを知らないと食われることになる。証券会社のビジネススタイル。

こんにちは、Centです。

今回は、証券会社の現物取引無料化についての落とし穴について話をしていこうと思います。

2020年から、日本の大手ネット証券会社5社の現物株取引の手数料無料化競争が始まりましたね。

以下に挙げる5社すべてで無料になりました。

大手ネット証券5社
  • SBI証券
  • 楽天証券
  • auカブコム証券
  • マネックス証券
  • 松井装券

SBI証券、楽天証券、松井証券では株の売買手数料を1日50万円まで無料にすることも発表しました。

さらに、SBI証券やauカブコム証券は、株の売買手数料の完全無料化への計画も発表されています。

ところで、それじゃぁネット証券会社は売買手数料を無料にしてどのようなビジネススタイルで利益を上げていくのかご存知でしょうか?

これがわからないと、個人投資家として少し面倒なことになるかもしれません。

今回は、このビジネススタイルの裏話を解説していきたいと思います。

それでは今日もお付き合い下さい。

証券会社の収入源

まずは各証券会社の、収入源を見ていきましょう。

SBI証券決算説明資料より

まずは、委託手数料、金融収益、引受募集売出手数料、トレーディング損益の項目について、わからない人もいると思うので一つ一つ解説していきたいと思います。

委託手数料

株式を取引するには証券会社に口座を開き、売買を委託して取引所に注文を取り次いでもらう必要がありますが、その際、証券会社に支払う手数料のことを委託手数料といいます。

『証券会社』が、株式を売買するお客さんを『東京証券取引所』などに、紹介しているようなイメージです。

投資家が売買をするときには、ほぼリアルタイムで売買されているようにみえますが、実は少しだけタイムラグがあるんです。

だから今までは、個人投資家が株式を売買するとによって、証券会社はお客さんの売買手数料と、証券取引所への紹介料をダブルでもらっているような感じでした。

これが、委託手数料です。

金融収益

証券会社が保有する預金や有価証券の受取利息・配当金など財務活動から得られた収益。

信用取引の金利・貸株料などもここに含まれます。

説明すると、信用取引をすることで証券会社は売買された株を、代わりに買うわけですね。

それによって、配当金等も証券会社がもらっているんですね。。。

余談になりますが、ちなみに日本以外の海外では、信用取引でも配当金を受け取ることができます。

日本の常識から考えたら、驚きですよねw

引受募集売出手数料

セリング業務、ディストリビューター業務とも呼ばれています。

IPOや公募増資などのときに株式を発行している企業から委託を受けて、投資家を募集・販売する業務です。

新規の有価証券の場合は「募集」、発行済みの有価証券の場合は「売り出し」と呼びます。

証券会社は売れ残っても引き取らないので、リスクを負うことはありません。

イメージは、インフルエンサーに自分の商品を委託して売ってもらうような感じです。

トレーディング損益

証券会社自身が株式や債券などを自社で売買して得た利益のことです。

これは、相場が上がって儲けるだけでなく、金利などの債券市場の売買などもしています。

ちょっと待ってよ

売買手数料を無料にしたら、ただ単に収益が減ってしまうじゃないか?と思った人はいいところに着目しましたね。

手数料を、無料にしたからといってたくさんの人が口座開設をするわけでもなく、収益が減っちゃいますよね?

証券会社は表立って発表はしていませんが、別の収益の方向性を考えていると推測できます。

日本の株式市場がどのように変化していくのか、アメリカの最近の流れから、考えられることを解説して行きますね。

無料で投資!ロビンフッド

ロビンフッドは、手数料が無料で株式投資ができるアプリです。

日本の金融関係者の間でも、何年か前から注目されてきました。

日本でもアメリカでも、証券会社は株式取引サービスから3つの収益を得ています。

  1. 株式の売買手数料
  2. レバレッジ取引(借金をしての株取引)からの金利収入
  3. 待機資金を銀行預金に自動的に回すサービスを提供し預金金利の一部を手数料として徴収
  4. (フロー(あとで解説))

ロビンフッドのビジネスモデルは、株式手数料をゼロにして、金利収入だけに頼るビジネスモデルを築こうとしていることです。

ところが、米国でも低金利になった結果、10年前と比べて金利収入の収益水準も低下傾向にあります。

このため、ロビンフッドにとっては、もう1つの『フロー』収入が大きな柱になっていくと考えられています。

フロー収入:解説

ロビンフッドの利用者の株の売買データのことを「フロー」と呼びます。

報道によると、ロビンフッドはこのデータを、ヘッジファンドなどに売却することで、収益をあげています

えええ!?って驚いたけど、どういうこと!?

ヘッジファンドは、ロビンフッドの利用者の膨大な売買データを購入し、分析することで、トレンドを掴み、収益をげることが可能です。

ここに問題がある!

ロビンフッドの顧客は、無料で株取引ができる代わりに、自分の売買データを提供しており、特に短期売買が目的の場合には、気づかないうちに少しずつ損をしているはずだ、という見方があります。

私たちが利用するサービスの多くが、無料になってきてますよね?

このような無料サービスを利用する際には、表面的には無料であっても、知らないところで何かを犠牲にしていることもあります。

だから仕組みを知らないと、知らず知らずのうちに損をしてしまうことも出てくるわけですね。

無料のサービスがこれからも出てくるとは思いますが、慎重に選んでいくようにしましょうね。

個人投資家は損をする?

ヘッジファンドなどに個人投資家の売買情報がたくさん流れてしまうと、個人投資家の投資が不利になる可能性があります。

それは、成り行き注文です。

成り行き注文は、株価はいくらでもいいから今すぐ1000株欲しいなどと言う注文方法です。

注文を出した瞬間に、ヘッジファンドのコンピューターが反応して数円から数十円ずれる可能性があります。

だから、注文は指値注文をメインにしていったほうがいいでしょう。

そして個人投資家全体の株式ポジションが筒抜けのため、場合によっては大きく売り込まれて、撤退を余儀なくされる可能性もあります。

まとめ

今回は、証券会社の手数料無料化の裏にある、落とし穴について解説をしてきました。

これから、世界的に無料化の流れが加速していくと思います。

そして、今のところ日本の証券会社からファンドに情報を流すという情報は入ってきませんが、アメリカのビジネススタイルが採用されていく可能性は大ですね。

だから、「無料になったぁ、ヤッタァ」っと喜ぶのと同時に、どのような仕組みでビジネススタイルが成り立っているのか確認していく必要がありますね。

また、新しい情報が入れば、更新していきますね。

それでは、またお会いしましょう!