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【株式投資初心者】株価を追う前に、知っておかなければならない世界の事情。

こんにちは、Centです。

今回は、株式投資をより有利にするために、世界中の地域の事情が株価に与える影響について話していこうと思います。

株式投資をしていると、世界中の情勢を気にしなければいけませんが、ノーマークだった国が急にデフォルト(債務不履行)を起こしそうになっていたり、なんで急に?ってなることもあるでしょう。

しかし、急にではなく、そうなるだいぶ前から問題が起きていたと言う事はたくさんあります。

そこで今回は、世界中の国や地域が抱える特有の事情を話していきたいと思います。

そして世界全体の、国と地域はこんな感じなんだなってことがわかっていただければ嬉しいです。

それでは、今日もお付き合い下さい。

アメリカ

アメリカがくしゃみをすると日本は風邪をひくとよく言われますが、もう何十年も前からアメリカ向けの輸出が日本の成長を支えてきました。

今でもその構図は変わっていませんし、日本の株式市場を監視する上でアメリカマーケットの存在は欠かせないものです。

また、最近ではアメリカ企業への株式投資をする、日本の個人投資家も増えてきましたね。

アメリカの企業でも世界中の人が知っているような有名企業がたくさんあって、投資先としてもとても優良な企業がありますもんね。

こうした意味でも、アメリカのことを知っておく必要があります。

それでは、アメリカの事情を話していきたいと思います。

シェール革命

オバマ政権の第二期目のスタートの時から、一期目とは明らかに違うことがありました。

それはエネルギー政策です。

ここ数年でアメリカのシェール革命によって、石油や天然ガスなども含めてエネルギー産業全体に影響が出る規模まで大きくなりました。

原油に関しては世界一の原油産出国になりました。

だから、2020年4月現在サウジアラビアとロシアが原油価格暴落による原産合意がなかなかされずにお互いに牽制しあっていますが、1ヵ月以上経ってようやくアメリカは重い腰を上げたように、間に入ろうとしています。

このアメリカの影響力は、もちろん資源の大部分を輸入に頼っている日本マーケットにも大きな影響を与えます。

ここ数年で伸びてきた産業になったので、アメリカにとっては大きなプラスになりました。

住宅産業と自動車産業

住宅産業はリーマンショックで大きな落ち込みを見せたものの、アメリカの経済を支えています

また、自動車産業もリーマンショックから大きく回復し大きな伸びを見せてきました。

コロナショックによって、工場が一時停止になったり、外出禁止によって自動車が使えなかったり、一時的に大きな落ち込みになるとは思いますが、住宅産業と自動車産業は落ち込んだ後の回復が期待されます。

その他、アメリカの飲料や薬品などのディフェンシブ関連もチェックしておかなければいけません。

新興国が高成長することにより、恩恵を受けるグローバル企業は景気に敏感なセクターだけではなくて、ディフェンシブや、小売、外食産業に至るまで様々ですね。

中国

中国経済は、成長することに全精力を注いできた政策が経済の拡大を生み、2010年には日本を抜いて世界第二位の経済大国になりました。

今では、世界経済や株式市場を見る上で、無視できない重要なカギを握る国になりました。

しかし、急激な経済発展には様々な問題が生じています

特に問題になっているのは、格差社会で経済規模は大きくなったものの、教育、環境問題などの改善を図ろうとする動きが出ています。

そして、中国経済を取り巻く環境はとても良いとは言えない状態です。

理由を3つ挙げます。

外需の問題

中国の貿易相手の大きなウェイトを占めるのは、ヨーロッパです。

しかしヨーロッパは、いくつかの国で債務問題が発生していて、中国製品の輸出に対して大きなブレーキがかかっている状態です。

EU全体の発展を期待する中国ですが、EU内部の問題が積極的な拡大になかなかつながっていきません。

内需の問題

中国で問題になっているのは、鉄鋼業です。

経済の発展を優先するあまりに、需要を無視した過剰生産能力を手に入れてしまったためです。

ここ数年間は、鉄鋼業、造船業、製造業などの不振が続いています。

さらには、中国有力者の汚職事件などが頻発したため、中国政府は「倹約令」を出し取り締まりを強化したことも内需に水を差した格好になっています。

倹約令をスタートした2012年から4年間で、汚職事件によって中国有力者10万人以上を処分したと報道もされていました。(どんだけ汚職が多いねん)

中国の汚職事件は、地位が上がって有力者であればあるほど、裁判で死刑になる確率が高くなります。

金融緩和や景気刺激策を積極的に打てない

普通の国であれば、景気刺激策のために金利を下げて、お金の回りをよくし、企業の設備投資を促して、景気を良くしようとします。

しかし、先ほども言った通り中国は過剰生産能力状態にあります。

簡単に言えば、既に設備投資をしすぎていると言うことです。

だから、どつぼにはまってしまっている状態です。

また、シャドーバンキングと呼ばれる銀行以外で融資されたお金が不動産市場で出回り、住宅バブルの懸念が既にあります。

もう既に10年以上前から、中国の不動産バブルは崩壊すると言われ続けています。

銀行からお金を借りると、中国当局の監視が厳しいので、個人や企業などが資金を融通する金融取引を影の銀行(シャドーバンキング)と呼びます。

ちなみに個人も銀行や、企業を通してお金を提供することができ、これを理財商品と呼んでいます。

年率3%からリスクの高いものだと8%などと言う理財商品もあります。

このような不透明な理財商品への投資が、デフォルトを起こすことも何度かあり、問題になりました。

中国の景気が悪くなると、ビジネスの関係が強い日本マーケットにも大きな影響与えるし、他の新興国を含む世界経済に大きな衝撃となるでしょう。

世界中の投資家が、中国マーケットを監視するのにはこのような理由があるのです。

だから、アメリカマーケットばかり見ている日本の投資家は、中国マーケットをもう少し意識した方が、より有利な投資ができると思います。

ヨーロッパ

ヨーロッパでは常に債務の危機が付きまとっています。

2010年 
ギリシャ EUに金融支援を要求
アイルランド EUに金融支援を要求

2011年
ポルトガル EUに金融支援を要求
ギリシャ 2度目の金融支援を要求
イタリア、スペインが危機

これらの国を総称して、GIIPS(ジップス)と呼ばれています。

EU加盟国のうち、2008年の世界金融危機後、財政悪化が特に懸念されるギリシャ・アイルランド・イタリア・ポルトガル・スペインの5か国。

PIIGS(ピッグス)とも呼ばれます。

危機の発端

このような危機の発端は、2009年の秋ギリシャの政権交代で前政権の財政赤字隠しが発覚したことでした。

この事件をきっかけに信用を失ってしまったギリシャ国債は、大手格付け外車によって格下げが相次いだことで国債利回りは急騰しました。

2010年の4月に、お金がなくなってしまったギリシャはユーロ圏の国々や、IMF(国際通貨基金)に金融支援を要請しました。

このデフォルトリスクは他の国にも影響し、アイルランド(2010年11月)、ポルトガル(2011年4月)が次々と金融支援を要請しました。

そして2011年後半には、ユーロ圏では大国であるスペインやイタリアまで危機が波及する結果となりました。

これらの国の国債利回りが危険な状態まで上昇してしまい、ヨーロッパの金融システム全体が危うい状態となりました。

EU離脱

ちなみに、このような財政危機が何度も襲ったので、イギリスのEU離脱ということになっていったのです。イギリスを始めとして、ドイツや、フランスなどが他の国を支えなければいけない状態となったからです。

その後、ECBのドラギ総裁のユーロを守るという発言と、ユーロ圏国債の無制限購入を決定したので、2013年以降は市場は安定を見せています。

EUの抱える問題として、片方の国が安定した黒字の国家なのに対して、EUに助けてもらえるからと、管理が正直あまり良くない赤字の国もあるわけです。

私たちの生活で言えば、旦那さんがたくさんお金を稼いでも、奥さんが無駄遣いばかりして貯金がなくなってしまうような状態が続いているわけです。

連合として一緒にやっていこうとなりましたが、イギリスのようになぜそこまでして他人を助けなきゃいけないのか?という不満が出るのも当たり前のことかもしれません。

ヨーロッパの問題解決には多くの時間を要するでしょう。

そしてヨーロッパのマーケットを見る時は、これが大きなリスク要因と言えるでしょう。

東南アジア

東南アジアは世界でも有望な成長地域として注目が高まっています。

人口が増えていて、所得が増えていっているので購買意欲がとても高く、世界中の企業が東南アジアに進出しています。

一人当たりのGDPが日本を超えたシンガポールから、お隣インドネシアに派生して、タイ、ベトナム、ラオス、カンボジアなど今では大きな発展を遂げてきています。

そして、最近大きく方向転換をしているのがミャンマーです。

日本人にも、旅行ビザが解放されビザなしでミャンマーに行けるようになりました。

ASEAN10カ国の人口の増加は、2010年の6億4900万人から、最近では7億人を超えたそうです。

そして、今現在インドネシアでは日本の人口の倍くらいの規模ですが、20年後には、フィリピン、ベトナム、タイなどでも日本の人口を超えるのではないか、と言われています。

人口が増えて、どんどん豊かになって、環境が良くなり真面目で勤勉な、そして英語が上手に話せる人口が増えていくわけです。

ますます、日本人の価値というのが問われる時代になっていくのではないでしょうか?

ASEAN諸国は、加盟国内での関税の撤廃や、投資の自由、人の移動の自由化も進めていて、今後も高い成長率が続いていくでしょう。

インド

インドは1990年代後半から2000年代後半にかけて、世界中から大きな資金が流入し高い経済成長を遂げました。

BRICs(ブリックス)、ゴールドマン・サックスがこのような名称を決めて、2003年の秋に投資家向けに向けたレポートで取り上げたことで話題になりました。

ブラジル、ロシア、インド、中国の4カ国の頭文字をとった造語です。

経済の発展が凄まじく、決して無視できない4カ国です。

インド人には、数学が得意な人が多いとよく言われますが、英語力が素晴らしく、低コストの人材を提供できる強みがあります。

だから、世界中からIT産業が進出して、大きく成長したのです。

中長期的な目線で見てみると、インドの成長余力は世界で最高クラスに大きいことから、世界経済にも大きな影響を与えてくるようになるでしょう。

2025年頃には、中国の人口を上回る見通しで、今が人口ボーナス期に入る状態です。

人口ボーナスとは、非労働人口(14歳以下+65歳以上)よりも、労働人口(15歳から64歳)が、2倍以上になっている期間を指します。

日本や、中国のように、高齢者がたくさんいるような社会ではなく、若い世代がたくさんいる状態と言うことです。

人口分布図も、日本は高齢者が多く50年後には人口の減少するでしょう。

対してインドは、若い世代がとても多いのでこれからどんどん伸びていくでしょう。

これが人口ボーナスです。

  • 人口増加で消費が拡大していく
  • 海外からの投資が拡大していく
  • 大規模なインフラ整備で高成長が継続していく

ロシア

ロシアが注目され始めたのは、プーチン大統領が政権を握るようになってからです。

2000年初期のロシア経済は、1998年に起きた通貨危機によるルーブルの暴落と国債の債務不履行などの「ロシア危機」によってボロボロの状態でした。

ロシア危機のときには、通貨の切り下げによってロシア国内の商品の競争力を向上させて、国内の生産が回復しました。

さらには、ロシア経済を支える石油・天然ガスの輸出が価格上昇にも後押しされて、2000年から2008年までのGDP成長率は、平均7%以上を達成しました。

しかし、2008年に起きたリーマンショックの影響で、原油価格の低下によって景気は悪化してしまい、2009年のGDP成長率はマイナス7.8%という結果になりました。

2012年の5月に大統領に返り咲いたプーチン氏は、「新経済」という新しい方針を掲げて、設備投資にたくさんのお金を投入し始めました。

これの狙いは、資源に依存した社会からの脱却です。

そして2012年8月には20年間交渉を続けてきたWTOに加盟が実現しました。

2020年現在では、日本人は、ロシアに自由に旅行などもできない状況ですが、今後かなり解放されていくと思います。

産業構造の改革と現代化、そして海外からの投資が増加してロシア全体の所得環境に変化があるかどうかが、ロシア経済の物差しになってくるでしょう。

ブラジル

2014年のサッカーワールドカップ、2016年のリオデジャネイロ夏季オリンピックという大きなイベントをこなしてきたブラジル。

しかしながら、イベント後のブラジルは交通インフラや、電力供給等の整備はまだまだ軟弱な面があり、海外からの投資も期待ほど進んでいないのが現状です。

しかし、ブラジル経済の見通しは明るいと考えています。

ブラジルも、現在人口ボーナス期になっており、経済の発展が期待できるからです。

そして、穀物や食肉の世界有数の産出国であり、鉄鉱石や原油など鉱物資源も豊富なこともブラジルの大きな強みの1つになります。

東南アジアの国々などから比べると、成長はゆっくりな気もしますが、今後十分発展が期待できる国だと思います。

オーストラリア

オーストラリアは、鉄鉱石、石炭を中心に、金や銅、ウランなどが豊富な資源大国です。

そして最近では、液化天然ガスの輸出が伸びてきています。

最近まで人口ボーナス期でしたが、ちょうど人口ボーナス期を抜けたタイミングです。

しかし、オーストラリアの強みと言うのは、堅調な社会の成長です。

1990年代に政府債務の削減、インフレターゲットの導入、確定拠出年金制度の導入などで、財政が安定しました。

2012年末にオーストラリア政府から発表されたアジア白書では、2025年までに一人当たりのGDPを世界10位以内に引き上げる計画がされています。

そして、堅調で優良な企業が多く配当による株主還元に積極的なので、オーストラリアの株は配当利回りが世界でも高水準です。

懸念点としては、中国経済ととても密な関係にあるので、米中貿易戦争などで中国の経済が落ち込んだ時には、オーストラリアの株や通貨にもかなりの影響が出ていました。

オーストラリアを見る時には、気にするのは中国経済です。

アフリカ

アフリカへのあなたのイメージは、どのようなものでしょうか?

貧しくて、内戦、宗教の対立、クーデター、食糧難が続いているイメージがあるのではないでしょうか?

しかし最近では、アフリカの存在感が高まってきています

2010年頃からは、経済の低迷期から脱し成長期に入っています。

アフリカの最大の経済国は南アフリカで、金やプラチナなどの資源に恵まれた国です。

1990年代に人種隔離政策(アパルトヘイト)が撤廃されてからと言うもの、国際社会に復帰すると、海外からの直接投資が増加しました。

今では、資源開発の投資だけではなく、自動車などの製造業の分野でもかなり伸びていて、資源国でもあり、工業国でもあると言う両面を持ち合わせた国家となりました。

このようなことから、先ほど説明したブリックスのsが複数形のsからサウスアフリカのSに変わって、BRICSと表現されるようになりました。

南アフリカ以外の国でも、インフラ整備が未発達のため経済成長の足かせになってきましたが、海外からの資金が流入しているのでこれからどんどん発展していくでしょう。

裕福になることで、人口が大幅に増えることが見込まれる点が強みです。

専門家の予想では、2010年から50年間でアフリカ全体の人口が2.1倍に増加すると予想していて、中国、インドの次はアフリカが注目される時代が来るでしょう。

そして、豊富な資源を持っている国がとても多いので、世界中からアフリカの資源の権利の確保を進める資源争奪戦の動きがあります。

日本もアフリカへの政府開発援助(ODA)を強化していて、民間企業も資源権益の確保などに積極的に動いています。

トルコ

トルコは、少し特殊な地域であることがまずは重要です。

ヨーロッパ、アジア、中東、北アフリカに囲まれているからです。

だから、大昔から貿易が盛んな国として栄えてきました。

トルコは21カ国と自由貿易協定を集結していて関税同盟を結び、一部を除いて関税が撤廃されています。

トルコ国内には20カ所にも及ぶ自由貿易地域を設けていて税制面などで国内の輸出企業を支援しています。

そして、エルドアン政権は周辺地域との平和と安定を目指す外交の方針を示していて、ゼロプロブレム(問題ゼロ)の外交政策を展開しています。

トルコの平均年齢は約30歳と言われていて日本の45歳と比べると、人口ボーナス期にあたるため経済が大きく発展しやすい状態です。

豊富な労働力と経済発展は所得の増加を引き起こし、個人消費の拡大も期待できるところです。

懸念点は、エルドアン大統領の独裁政権にあります。

トルコの通貨が売られすぎたときには、大統領の一言で金利を高くしたり、トルコ通貨を売ってはいけないなどと勝手に決めてしまい、トルコに対するさらなる不安を作ってしまう結果になりました。

まとめ

今回は、世界の主要な国や地域の説明をしてきました。

かなりざっくりとした感じの説明になってしまいましたが、これから発展していく国々は、人口ボーナス期に当たっているというのが共通しているところです。

このような急成長を遂げる国と、日本はうまくやっていけるのでしょうか?

日本の民間企業もアフリカや東南アジアに莫大な資金を投入していて、今後の発展に注目していきたいところですね。

タイミングがあれば、このような国々資金を投入して恩恵を受けたいものです。

日本の株式市場を見るのにも、日本に影響が出る国や地域はたくさんあります。

イギリスもEU離脱が決まったときにも、日本の株式市場は相当売られました。

毎日ではなくても、日本企業の成長地域への投資の速報は、しっかりと抑えておくことをオススメします。

それでは、また。