こんにちは、セントです。
今回は、マカオのカジノセクターについてコロナの影響でどのくらい打撃を受けているかをまとめていきます。
マカオは、かなり早い段階からイミグレーションの閉鎖をしていて、2020年4月8日時点で、感染者数44人、回復10、死亡者ゼロという、コロナの封鎖にかなり成功している地域です。
しかし、その閉鎖による代償はかなり大きなものなので、報道されている数字を見ていきたいと思います。
それでは、今日もお付き合いください。
3月の収支と4月予想
マカオのカジノ収入は、3月に前年同月比79.7%減の52億5700万パタカ(1パタカ=約0.97HKドル=約13.5円)になったと報道されました。
ちなみに2月は、新型コロナウイルスの感染抑止を目的として15日間の営業停止を実施しました。
その2月は前年同月比で87.7%減の31億パタカだったが、営業再開後の3月も8割の落ち込みが続いたというわけです。
思ったよりも、コロナの脅威が長引いているというのが、マカオ政府の正直なところでしょう。
四半期ベースの数字では、1-3月のカジノ収入は前年同期比60.0%減の304億8600万パタカとなりました。
マカオ当局と中国広東省側が入境制限を強化した状態が続いていて、カジノ収入はこの先さらに減少する恐れがあるということです。
JPモルガンのレポートでは、マカオのカジノ収入は「ゼロに近づく」可能性があると指摘しています。
カジノ銘柄の大幅な業績悪化は、すでに避けられない状況となっていますね。
日本にカジノが解禁された場合には、カジノ収入だけに頼るような社会の構図になった時には、このようなリスクがついて回ることになるということです。
マカオ政府の20年見通し
マカオ政府自信が、2020年のカジノ売り上げに、悲観的な見通しを示しています。
通年のカジノ収入予想を、2600億パタカから1300億パタカへ半減させる発表をしています。
この数字は、2月時点で予想を発表しているブルームバーグの19年比で56%減となる発表を、大きく超える悲観的な数字となりました。
その後、マカオと本土側で入境制限が強化されたこともあったので、証券各社も相次いで下方修正に動き出しています。
やはり、マカオの売り上げを支えているのは、中国本土からの中国人の影響が大きいということです。
広東省の14日隔離措置でヒトの往来停止
マカオ政府によるカジノの営業停止措置は2月20日に予定通り解除されました。
しかし、客足がまだ戻っていない状況下で、3月15日には新たな感染事例が報告されて、40日間感染ゼロ記録が途切れました。
これを受けて、マカオ政府は3月18日から、本土・香港・台湾住民と就労ビザ保有者を除く外国人の入境を禁止をはじめました。
さらに3月24日以降は香港・台湾から入った旅行者を対象に14日間の隔離を義務付けるなど、入境制限の一段の強化に動いています。
中国本土の動き
中国本土では3月28日から、外国人の入国を原則拒否したが、広東省を含む一部地域はこれに加え、住民を含む全入境者に対する2週間の隔離措置を導入しています。
これにより、マカオと広東省とのヒトの行き来が極めて難しい状況となりました。
広東省は、マカオの主要な旅客源であると同時に、本土から陸路でマカオを訪れる人が必ず通る窓口であり(大半はマカオ北側の拱北口岸、西側のロータスブリッジを利用)、事実上の往来停止は大ダメージにつながるわけです。
もう一つのルートである香港からの入境も、マカオでの14日間の隔離対象であり、JPモルガンが示したカジノ収入の「ゼロ化」予想はこうした各種規制によるインバウンドの壊滅的な減少が理由です。
JPモルガンはもともと、4月に前年同月比50-60%減を見込んでいましいた。
しかし、この数字の達成すら現実的にほぼ不可能となった状況です。
カジノは“氷河期”シティの業績予想
4月のカジノ収入に関しては、シティグループも「前年同月比94%減の15億元」との極めて悲観的な予測を示しています。
入境制限を受けて、「カジノ業が“氷河期”を迎えた」とのレポートも出しています。
20年度のカジノ収入に関しても、前年比28%減との従来予想を45%減へさらに下方修正しています。
シティの試算では、各社がコストダウンに尽力しても、EBITDA(利払い・税引き・減価償却前利益)ベースで採算ラインを維持するには、1日当たりカジノ収入2億7000万パタカが必要になる。
業務正常化に向かう課程では採算ラインが3億4000万パタカに上昇するため、7-9月までは苦戦が続く可能性が高いと見ています。
ただ、シティはカジノセクターの長期見通しを楽観していて、コロナショック後の再評価を見込んでいます。
長期投資向けには、短期的な株価調整が買いチャンスにつながるとの見方をしていて、サンズ・チャイナ(01928)と銀河娯楽(00027)をトップピック銘柄としている。
下げ止まり時期は10月!?モルガン予想
モルガン・スタンレーは20年通年のカジノ収入見通しを前年比16%減から同35%減に下方修正しました。
当初7月としていた下げ止まりの時期が、10月にずれ込むとみられることが理由です。
同時にカジノ銘柄の20年通期の予想EBITDA(利払い・税引き・減価償却前利益)を37%減額修正し、5銘柄の目標株価を一斉に引き下げました。
うち銀河娯楽、ウィン・マカオ(01128)、澳門博彩控股(00880)に関しては減配の可能性を指摘しています。
マカオの今後
インバウンドの極端な低迷はカジノ以外のサービス業にとっても打撃であり、マカオの景気悪化が深刻化しそうな状態です。
マカオ統計局によれば、2月の段階で、ホテル客室稼働率は15%と、前年同月比76.9ポイントのダウンをしています。
その中でも、5つ星ホテルの客室稼働率は10%と、84ポイント下落しているとの発表もされています。
マカオのGDPは19年10-12月に前年同期比8.1%減となり、これで4期連続のマイナス成長ということなります。
19年通年では前年比4.7%減と、3年ぶりのマイナス成長となったが、20年には2年連続のマイナスとなる可能性が高まってきています。
まとめ
今回は、マカオの現状と証券レーポートなどを参考に、マカオの状況を伝えてきました。
コロナウイルスが収束しない限りは、なかなかマカオに遊びにいこうということにもならないので、まだ少し時間がかかりそうですね。
しかし、マカオは日本と違い財政的にも余裕があるので、すぐに破綻になったりということはないと思います。
マカオ政府のかなり思い切ったカジノ封鎖の戦略は、世界的にも相当な高評価を受けていて、今後の回復に期待したいところですね。
まずは、日本でも緊急事態宣言が発動されたので、今はみんなで我慢をしなきゃいけない時ですね。
皆さんも、十分にお気をつけくださいね。
それでは、またお会いしましょう。