世界経済の知識

【世界経済の知識】GATT(ガット)とWTOって何?世界貿易を理解しよう

こんにちは、Centです。

今回は、GATTとWTOについて学んでいきましょう。

テレビでは、TPPなどたくさん取り取り上げられた時期があったので、TPPについて解説をしていこうと思ったんですが、その前にGATTやWTOについてしっかりと理解しておかなければなりません

経済のニュースについて興味がある人は、GATTやWTOが貿易に関係しているというのはわかっているかもしれません。

いったいどんな機関なのでしょうか?

そこで今回は、貿易についての話をしていこうと思いました。

GATTとWTOについて、深掘りしていきますね。

それでは、お付き合いくださいね。



貿易の歴史

それではまず、なぜ各国でお互いに貿易をしているのか?という話をしていきます。

まずは貿易の仕組みを話した後に、貿易が盛んに行われるようになったきっかけについて話していきましょう。


貿易がもたらす比較優位

イギリスの経済学者「デビット・リカード」は、比較優位という貿易の大原則を発見しました。

簡単に説明すると、2つの国で貿易をすると両方の国にメリットがもたらされるという考え方です。

日本とアメリカの2つの国があるときに、日本は自動車を、アメリカは小麦というようにその国が得意とする分野の生産に力を入れて、お互いに貿易すると利益が大きくなるという仕組みです。

アメリカだって車を作ってるよという話になりそうですが、あくまでも例えの話です。

しかし最初からこの考え方が浸透していたわけではありませんでした。

そこには世界的な大きな事件がありました。


世界恐慌

言葉は聞いたことあるかもしれませんね。

これは、1929年のアメリカ・ニューヨークの証券取引所で株価が大暴落した事件です。

それをきっかけに世界的に経済の後退(世界恐慌)が起きました。

この時に世界の国々がとった行動に問題があったのです。

それは、自分の国の経済を守るために、輸入に対して大きな制限をかけたことでした。

このことから、国際的な貿易がほとんど行われなくなってしまって、結果として世界的な不況が加速することになりました。

このような失敗から、世界各国が自由な貿易をした方が実はとても有益だという考え方が浸透していきました。

とても簡単な説明で終わらせてしまいますが、貿易が盛んになったのは世界恐慌がきっかけだったと言われています。

そして比較優位の原則にみんなが賛同し従うようになっていきました。



GATTからWTOへ

1948年に発足したのが「GATT(関税および貿易に関する一般協定)General Agreement on Tariffs and Trade」という機関でした。

この時代にはまだまだ輸入品にかかる関税や輸出入の規制など、ちゃんと決められていなかったです。

だから世界各国でこのような障壁を取り除いて、自由な貿易を守ろうとする機関を作りました。

GATTの内容は、大きく分けるとこの3つになります。

GATTの内容
  1. 貿易の制限をなくす
  2. 貿易の無差別待遇
  3. ラウンド交渉 ( 多国間交渉 ) 





WTOへ

世界的に貿易が盛んになってくると、様々な問題が発生するようになってきます。

そこで、GATTよりも縛りが強い国際機関を作ろうということになりました。

そこで1995年に「WTO(世界貿易機関)World Trade Organization」へと発展していくことになります。

WTOは、各国がさらに自由にモノやサービスなどの貿易ができるようなルールを定めました。

そして、今でも加盟国間の貿易交渉の場を提供しています。

革命的だったのは、モノに限らずサービスや知的所有権を含めた、世界の貿易を統括する国際機関に発展したことです。

本部はスイスのジュネーブに置かれていて2年に1回、参加国の閣僚会議を開催しています。

2020年5月現在、164の国と地域が参加しています。



貿易機関の話し合い

GATTやWTOでは、国際会議の場を何度も開き、貿易での様々なルールを決めてきました。

押さえておきたい知識として、代表的な話し合いをおさらいしておきましょう。


ウルグアイ・ラウンド

貿易での国際会議の呼び方として、第何回という呼び方の代わりに、「地名」+「ラウンド」という呼び方をします。

その中でも重要だった会議として、1986年から94年にかけてのGATT「ウルグアイ・ラウンド」が挙げられます。

ウルグアイは南米の東南部に位置する国で、ラウンドは会議や交渉を意味しています。

だから「ウルグアイ・ラウンド」というと、ウルグアイでの会議で決まった事という意味ですね。

この会議で話し合われたのは、金融や投資、情報や通信、知的所有権、サービスなどの分野もGATTの原則に沿って適用していこうということになりました。


みんなの国にプラスというわけではなかった

日本での出来事を例にあげて見てみましょう。

日本では、戦後からずっと「お米」の輸入を禁止してきました。

ウルグアイ・ラウンドでは、日本は「輸入の禁止を止める」という約束をさせられました。

その代わり、ほどほどに高い関税はかけてOKになったので、日本は海外からのお米に高い関税をかけました。

ただし、高い関税をかけすぎると罰則になってしまうので、日本は輸入したくもない「ミニマムアクセス米」と呼ばれるお米を輸入することにしました。

30歳オーバーの人なら覚えているかもしれませんが、当時は「タイ米」の中にネズミが入っていたとか、何かと話題になったものです。

今では、ちゃんと管理されているので、そんなことはないですが当時は、米農家を守るために、高い関税をかけてお米を輸入するという、おかしなことになってしまうこともあったのですww



まとめ

今回は、GATTとWTOについて話をしてきました。

確かに、その国によって得意な産業も違うし、小型でも価値があるものから、大型でも価値の低いものまで様々ですよね。

だから、誰かが利益を産もうと思えば、誰かが少し我慢をしなきゃいけなくて、先進国はその傾向が強くなってしまうってことですね。

世界の貿易にも、こんな歴史があったんですね。

自由な貿易も大切だけど、自分の国産業を守ることもとても大事なんですよね。

このような問題は、日本だけでなくGATT、WTOが続いていく限り起こってしまう問題です。

米中貿易戦争も、そんなアメリカと中国の貿易の収支の拡大から始まったことでしたね。

今日も、読んでいただきありがとうございました。