こんにちは、セントです。
今回は、米中貿易戦争による、中国のデフォルト懸念とドイツの抱える問題はウラでつながっているということを、紹介していきたいと思います。
EUの優等生といわれているドイツですが、貿易戦争の影響を受けていることを知らない人が多いと思います。
果たして、どのようにつながっているのか?解説していきます。
デフォルト懸念の中国
そもそも、デフォルトとは?
デフォルトという言葉を聞いたことがない人もいると思うので、簡単に説明していきます。
金融の世界では、デフォルトというのは「債務不履行」と訳されることが多いです。
つまり、「借金だらけになってお金が返せない状態」になってしまうということです。
中国のデフォルト懸念
もう何年も前から中国のデフォルト懸念は、ささやかれていますね。
特に、政府系の銀行はニュースになることもあります。
なぜかいつも、何もなかったかのように経営を継続しています。
しかし、最近になって、少し様子が変わってきたようです。
海航集団のデフォルト懸念
海航集団は、中国のコングロマリット(複合企業)です。
日本語では、「HNAグループ」なんて呼ばれ方もしていますね。
どのような企業かというと、航空運送事業がメインで、金融、貿易、レジャーなどの事業も展開しています。
表では、民間企業ということになっていますが、国家副主席の王 岐山(おう きざん、ワン・チーシャン)が、バックについているといわれています。
習近平国家主席のグループですから、強大な権力を握っているとされています。
しかし、そんな会社が窮地に立たされている報道がされ始めました。
2018年に米中貿易戦争が、激化する中で、資金ショートの報道がされました。
そして、2018年の第一四半期(1月から3月まで)に、少なく見積もって、150億元(約2,600億円)の債務の返済ができなくなる可能性が報道されました。
そして、中国メディアでも、「経営破綻が近いのではないか」と報道するメディアもありました。
ウォールストリート・ジャーナル
2017年11月にアメリカ紙、ウォールストリート・ジャーナルは、HNAグループの債務の規模が、およそ1000億ドルに膨れ上がっていると、報じていました。
その時は、世界的にはあまり気にしていなかった報道でしたが、いよいよ現実味を帯びてきた感じです。
中国株式市場の動き
HNAグループの子会社7社の株式の取引が停止され、不動産等の資産の売却が進められました。
加えてリストラも進めていて全世界の従業員の4分の1の10万人程度を削減する計画が発表されました。
ドイツとのつながり
皆さん、「ドイツ銀行」という名前は聞いたことありますか?
ドイツ銀行は、ドイツで最大の銀行です。
また、ドイツはEUの中でも中心的な存在なので、もしもドイツになにかあればEU全体が危機につながります。
驚くことなかれ!
そして、そのドイツ銀行の筆頭株主(一番多く株を持っている)が、なんと、このHNAグループなんです!
ぎゃーってなりますよねww
2018年2月時点でドイツ銀行株の、約10パーセントを保有している状態でした。
だから、少し大げさかもしれませんが、中国政府の資金がドイツの未来を左右してしまうかもしれません。
<知識の付け加え>
少し話しは、ずれてしまいますがHNAグループは積極的に海外の企業買収をしていて、投資可能な金額は約400億ドルといわれています。ドイツ銀行の他に、有名なところでいくとヒルトンホテルを経営する「ヒルトン・ワールドワイド」の筆頭株主でおよそ25パーセントを保有しています。
トランプ政権発足前後の比較
アメリカはトランプ大統領になる前までは、海外からの入ってくる人や物に対して、とてもウェルカムな姿勢でした。
そして、お金が余った中国企業はアメリカの企業や不動産などを買い漁りはじめたのです。
いわゆる、爆買いってやつですねw
さらに、中国企業は、いままでは保有資産が中国国内のものが多かったため、決算をごまかしても中国の警察に見つからない限りは、問題にならなかったのです。
しかし、アメリカなどの先進国であればそういうわけにはいきませんし、透明化が求められるのです。
だから、最近中国企業のデフォルト問題などが表に出やすくなってきているのです。
中国とドイツがペアであると言われる理由
トランプ政権が発足した後、アメリカの金融業界も改革をしました。
そもそも、HNAグループが資金繰りに困るきっかけになったのは、2017年7月の出来事でした。
大手金融機関が顧客の確認委員会(KYCと呼ばれる、顧客調査機関)がオーケーを出さないという理由で、HNAへの資金の融資や、買収案件への助言などを止めたと言われています。
さらに、バンク・オブ・アメリカは、同じく2017年7月に系列の投資銀行に対してHNAグループとの取引停止を指示しました。
このようにしてHNAグループは資金調達が出来なくなってしまいました。
そこで、お金の流動性がなくなり、債券発行によって資金を集めていたため利息の支払いなども必要になり、経営難に直面しています。
資金を工面するHNAグループ
どうしても、資金が必要だHNAグループは、持っている資産を売却してキャッシュを作る必要がありました。
さらに、売却の時点で損失も発生してしまい、財政状況がますます悪くなりました。
このようなことから、HNAグループも国有化が噂されています。
もしも、HNAグループが国有化されれば、ドイツ銀行の筆頭株主が中国政府という構図ができてしまいますよね。
仮に中国政府が、「ドイツ銀行株を大量に売り出し」なんてことになれば、ドイツ銀行の株は大暴落し、リーマンショックよりも被害が大きくなると予想されています。
だから、ドイツと中国は、非常に関係性が深いといえるでしょう。
まとめ
今回は、中国とドイツの関係性について話をしてきました。
米中貿易戦争で、アメリカと中国の関係性の悪化によって引き起こされる問題というのは、2つの国だけの問題ではないということを、再確認してほしかったんです。
アメリカ、中国、日本、そしてEU、さらにはイギリスのブレグジットなど、大きな課題は山積みです。
しかし、国々の関係性を知っておけば、大きな流れがわかるので、投資において大怪我をしなくてもすむようになるでしょう。
そして、ピンチをチャンスに変える力も養えるでしょう。
今日も、ブログを読んでいただきありがとうございました。