こんにちは、セントです。
今回は、「ドイツ銀行のいま置かれている状況」や「ドイツ銀行が投資した投資先の問題」、「銀行の経営がうまくいっているかのように見える仕掛け」などを話していきたいと思います。
ドイツは、EUの中でもこれまでは「ヨーロッパ経済の優等生」といわれていて、戦争時代の借金もすべて返し終わり、本当に優秀な国だと言われていました。
しかし、最近になって気になるネガティブのニュースがたくさん出てきました。
そこで今回は、ドイツ銀行のヤバい経営状態をまとめていきたいと思います。
それでは、お付き合い下さい。
ドイツ銀行とは?
ドイツ銀行(Deutsche Bank)は、フランクフルト・アム・マインに本部を置くドイツ最大のメガバンクです。
フォルクスワーゲンなどの大企業のメインバンクで、ドイツ銀行の破綻が最近噂されていますね。
ドイツ経済が不安定になってきているのも要因の1つです。
以前は、ヨーロッパを代表する名門銀行として名を馳せてきたドイツ銀行でしたが、2015年にフォルクスワーゲンの問題が出てきてから、3期連続で最終赤字を計上しました。
さらに、、、
2019年の4〜6月期で、31億ユーロ(約3,800億円)の赤字で、7~9月期の最終損益が8億3200万ユーロ(約1000億円)の赤字になりました。
そして、向こう3年間で18,000人を削減するという計画です。
銀行総資産ランキング
2020年01月20日時点でのランキングをみてみましょう。
1 | 中国工商銀行(ICBC) | 4.027兆ドル | 中国 |
2 | 中国建設銀行(CCB) | 3.377兆ドル | 中国 |
3 | 中国農業銀行(ABC) | 3.287兆ドル | 中国 |
4 | 中国銀行 | 3.092兆ドル | 中国 |
5 | 三菱UFJフィナンシャル・グループ(MUFG) | 3.069兆ドル | 日本 |
6 | JPモルガン・チェース | 2.727兆ドル | アメリカ |
7 | HSBCホールディングス | 2.558兆ドル | イギリス |
8 | バンク・オブ・アメリカ(BofA) | 2.354兆ドル | アメリカ |
9 | BNPパリバ | 2.336兆ドル | フランス |
10 | クレディ・アグリコル | 2.123兆ドル | フランス |
11 | シティグループ | 1兆9170億ドル | アメリカ |
12 | ゆうちょ銀行 | 1兆9110億ドル | 日本 |
13 | ウェルズ・ファーゴ | 1兆8960億ドル | アメリカ |
14 | 三井住友フィナンシャルグループ | 1兆8480億ドル | 日本 |
15 | みずほフィナンシャルグループ | 1兆8380億ドル | 日本 |
16 | サンタンデール銀行 | 1兆6710億ドル | スペイン |
17 | ドイツ銀行 | 1兆5440億ドル | ドイツ |
18 | ソシエテ・ジェネラル | 1兆4850億ドル | フランス |
19 | BPCEグループ | 1兆4630億ドル | フランス |
20 | バークレイズ | 1兆4440億ドル | イギリス |
(表作るの疲れたw)
世界の銀行総資産ランキングでは、ドイツ銀行は1997年には世界第3位から、2020年のランキングは17位となかなか厳しい戦いをしています。
ちなみに、毎年のように下がっていってます。
また、2016年にはモーゲージ担保証券(MBS)と呼ばれる証券を、不正に販売したとしてアメリカ司法省から最大140億ドルの罰金支払いを求められました。
2015年に、フォロクスワーゲンの問題があってからというもの、ドイツ銀行の株価を下げ続け、毎年のように上場来安値を更新しています。
2015年に30ユーロ以上あった株価も、今は4ユーロ台まで落ち込んでおり、経営の不安定さが感じ取れますね。
実際に確定した罰金は、2016年12月に72億ドル支払うことで和解しました。
当初アメリカが要求していた罰金の半額程度でおさまったので、2016年の年末にかけては一時的に株価が上昇しています。
次のパートでは、ドイツ銀行が抱える問題について話していきます。
ドイツ銀行が抱える『CoCo債』という巨大爆弾
ハイブリット証券という名目で登場した「CoCo債」も大きな問題の1つになってきています。
CoCo債とは?
ハイブリット証券というのは債券と株式の両方の側面を持った金融商品で、状況によって債券にも、株式にもなるというものです。
意味がわからないという人に、簡単に説明しますね。
黒字経営のときは借金として考えて儲けのバランスをとり、赤字経営のときは株式として考えて、少しでも数字をよく見せることができるということです。
都合のいいように、経営陣が操作できるので、合法的にごまかしが聞くとでもいっておきましょうか。。。
そして、借りたお金を返せなくなったときには株券で返しますよという、危険と隣り合わせの証券の1つです。
逆に言えば、株券に変換されるときには経営状態が相当「危険な状態」という判断になりますね。
ドイツ銀行のCoCo債の株式への転換
実際に2016年2月には、ドイツ銀行のCoCo債が大量に(約46億ユーロ)債券から株式に転換させられそうになり、CoCo債の信用が一気に低下する要因になりました。
そして、CoCo債の発行が難しくなり、現金が必要になり、株式が希薄化して株安につながる流れになってしまいました。
また、ドイツ政府の公的資金の注入や債務保証が行われれば、ドイツ自体の信用もなくなってしまうという八方塞がり状態。
この流れで、ドイツ銀行をメインバンクとしてきた企業などの資金調達にも影響が出ており、ドイツだけではなくてユーロ圏全体の信用不安にもつながっています。
手を打てないドイツ政府
ドイツ銀行を早い段階で救済すべきだったドイツ政府でしたが、救済を否定した姿勢には理由があったんです。
それは、EUの存在でした!
2016年1月に、ギリシア、スペイン、イタリアなどの金融的不安がある国に対して、金融機関の経営が危険なときには、「国家は助けるべきではない」「民間企業なのだから、民間で解決するべきだ」という「ベイルイン制度」が導入されたのです。
この制度の言い出しっぺは、なんとドイツだったのですねぇ。。。
だから近年のドイツ銀行の経営不振に対して、救済するという事は、ドイツの信用一気に落としてしまうことにつながるのです。
最後にフォルクスワーゲン 問題にも触れておきましょう。
2015年フォルクスワーゲン問題
皆さんも聞いたことがあるかもしれません。
フォルクス・ワーゲンは、日本で言うトヨタや、ホンダ、日産のような車を製造する会社です。
そして、2015年には、フォルクスワーゲンの不正行為が発覚して、排気ガスの規制不正問題が明るみに出ました。
内容は、「排ガス試験を不正にクリアする違法なソフトウェアが装着されていた」ということでした。
もちろん、排ガスに関しては、基準オーバーの車だったのです。
修理をして、また顧客に乗ってもらうためには、それぞれの国からリコールの許可をもらわなければいけません。
2016年春に、ドイツ当局からディーゼルエンジン搭載の車のリコール(回収をして、無償修理)の許可が出ました。
さらに、2017年の7月にアメリカ当局から問題になったディーゼル車のリコールの許可を得たと発表しました。
2017年後半に、フォルクスワーゲンは世界中の問題の車両について340万台全てのリコールが完了したと発表しました。
一時は倒産の噂もありましたが、2019年、フォルクスワーゲンの業績はかなり回復してきています。
投資のエキス(プラチナが狙い?)
2015年フォルクスワーゲンの問題が明るみになって以降、「プラチナ価格」が暴落しました。
以前は、プラチナって金よりも高い値段で取引されていましたよね?
しかし、現在「金の価格」よりも半分以下の値段で、取引されています。
なぜ、フォルクスワーゲンの問題がプラチナ価格に関係するか?というと、プラチナはディーゼル車において、排ガスを浄化するための触媒として使われているのです。
プラチナというと宝石店などで売っている宝飾品に使われるというイメージが強いですが、実は産業用の方が多く使われているんです。
知らなかった人も多いのでは?
世界のプラチナ需要を見ると、約40%が自動車触媒、宝飾品はそれより少ない35%程度でした。
フォルクスワーゲンの業績が回復してきてるということは、またプラチナ価格が上がる可能性があるということです。
そこに、投資のチャンスがあるかどうかは、自己判断でお願いしますww
まとめ
ドイツ銀行の経営が苦しくなっても、EUの他の国の目がある限り、ドイツ政府はなかなか援助ができない現状があるということですね。
コロナショックによって、世界中の株やコモディティーが、暴落する中で、経営が苦しいドイツ銀行にも大きな影響が出てくるはず。
いつドイツ銀行は破綻するか?というのは予想するのは難しいことですが、ドイツ銀行に動きがあれば、本当に経営が苦しくなっている証拠です。
ドイツ政府の今の動きは、すでに国の支援を受けているコメルツ銀行(CBKG.DE) との合併協議に入るよう圧力をかけています。
すれば、間接的にドイツ銀行に資金援助ができるようになるわけです。
この話は、1年以上も前から出ていて、いまだに合併はしていません。
しかし、ドイツ銀行には2008年のリーマンショックをほぼ無傷で乗り切った過去もあります。
ドイツ銀行の破綻と言う文字だけが一人歩きをしていますが、実際に破綻をしたらリーマンショック級の大暴落になるでしょう。
しかし、EUを始め、他の国でもその事は分かっているので、ドイツ銀行を救済するように、ドイツ政府に他の国から圧力がかかるでしょう。
だから、破綻する事は考えにくいです。
このような、大きな流れを予想することは投資にとって、非常に大事なことです。
皆さんの投資に少しでも役に立ちますように!
今日も、ブログを読んでいただきありがとうございました。