こんにちは、セントです。
今回は、2020年のハンセン指数の銘柄入れ替えで大変動が起きる!というテーマで話していきます。
結論から先に言ってしまいますが、今までの香港ハンセン指数の問題は、「構成銘柄の約半分が金融株だった」ということでした。
だから、世界的に低金利の現在では世界中の他の指数に比べて伸び悩んでいるんですよね。
日本で言えば日経平均やTOPIX、アメリカならダウ平均やナスダックなどがあります。
それらの指数に比べて明らかにパフォーマンスが悪すぎなんですね。
その問題を補うように、今回の入れ替えでの3銘柄が採用されます。
実際に変更になるのは、2020年9月7日からの運用になります。
それでは、今回の入れ替えでハンセン指数はどのように変化するのか見ていきたいと思います。
採用銘柄と業種の変化と比率の確認
2020年8月14日、香港の株価指数を運営するハンセン・インデックシズは四半期ごとに行う指数構成銘柄の見直し結果を発表しました。
香港市場を代表するハンセン指数に採用されたのは次の3銘柄になりました。
また、ハンセン指数は50銘柄の構成になるので、入れ替わりで除外される銘柄は次の3銘柄です。
入れ替えの影響をみてみよう
実際の入れ替えは9月7日からですが、発表された日に入れ替えが行われたと仮定した場合どのくらいの影響があるか?計算をしてみましょう。
結論は、3銘柄のウエートは合計で9%を超え、ハンセン指数に初めてH株が採用された2006年以来、10年超ぶりの大規模な変動とになります。
その中でもアリババ集団は、時価総額は5兆HKドルを超えであり、香港の全上場銘柄でトップの規模です。
昨年11月の上場以来、時価総額や売買規模などの点からもハンセン指数への採用を望む声は多い状況でした。
そこで、今回ようやくハンセン指数に採用となりました。
今回の入れ替えを受けて、ハンセン指数の動きに連動する運用成果を目指すファンドからアリババ集団に約75億HKドル、小米集団に約39億HKドル、薬明生物技術に約26億HKドルの計140億HKドルの資金が流入するとみられています。
銘柄 | ウェート(%) | 資金流入(億HKドル) | |
採用 | アリババ | 0%→5% | +75.0 |
採用 | 小米 | 0%→2.5% | +38.9 |
採用 | 薬明生物 | 0%→1.7% | +26.3 |
除外 | 信和置業 | 0.3%→0% | -5.4 |
除外 | 中国旺旺 | 0.3%→0% | -5.9 |
除外 | 神華能源 | 0.3%→0% | -8.0 |
既在銘柄 | 建設銀行 | 7.5%→6.9% | -9.2 |
既在銘柄 | HSBC | 8.8%→8.1% | -10.8 |
既在銘柄 | テンセント | 11.4%→10% | -22.2 |
日本語にすると、比重です。全体から見て、その銘柄がどのくらいの割合を占めているか?ということです。
美団点評は選ばれず
今回の銘柄見直しではアリババ集団のほかに、ネット出前事業などを手掛ける美団点評(03690)がハンセン指数採用の最有力候補とされていました。
しかし、美団点評は中国企業指数への採用のみでした。
事前に予想されていたハンセン指数には採用されずに終わりました。
市場では予想外の結果として受け止められています。
採用を決めている『ハンセン・インデックシズ』はこのようにコメントを出しています。
銘柄の見直しは各社の時価総額や売買代金、業界代表性、財務状況などを総合的に考慮して行っている。
『香港経済日報』は過去のデータから、美団点評は採用候補として十分な検証が行われた後、不採用の決定が下されたことを問題視しています。
しばらくは、美団点評のハンセン指数への採用は難しいと予想していて、売り圧力が強まる可能性があると予想しています。
香港科技指数を作ったばかりなのに?
アリババ集団のウエートは上限の5%、小米集団は2.59%となり、これにテンセントの10%を加えると、ITセクターのウエートは17%を超える計算になります。
株の世界でのセクターは、業種などと訳されることが多いです。元々は、区切られた範囲を意味しています。
ITの業種をひとまとめにして「ITセクター」のように呼びます。
香港市場では7月27日に「香港版ナスダック指数」に当たる「ハンセン科技指数」の算出・公表が始まったばかりで、市場では香港科技指数と似たようなものになったという声も上がっています。
ハンセン・インデックシズの黄偉雄氏はこの指摘に対して、このようなコメントをしています。
各指数にはそれぞれポジショニングと目的がある。ハンセン指数は香港市場を代表する指数であり、香港科技指数はテクノロジーをテーマに抽出されている。
ハンセン指数が引き続き香港を代表する重要な指標となるように、銘柄の構成や選択、構成銘柄数、ウエート、セクター、地域分布などを含め、全面的な検討を行う方針ということですね。
ハンセン指数が50銘柄じゃなくなる?
50銘柄で構成されているハンセン指数の構成銘柄数を増やす可能性も出てきています。
香港のエコノミストや、証券アナリストの考えをみてみると、かなり高い確率でハンセン指数の構成銘柄数が増えるという見方が強くなっています。
最近では、香港市場では大型の新規株式公開(IPO)や中国系企業のセカンダリー上場が相次いでいるので、ハンセン指数採用へのハードルが上がり過ぎているのが現状です。
日本語を直訳すると、2番目の上場。例えば、カップラーメンで有名な日清食品は日本で上場していますが、香港市場でも上場しています。
このように、すでに上場している企業が新たに別の市場で上場することを「セカンダリー上場」と言います。
そこで、時価総額などの条件を満たさない企業はどんどん入れ替わって除外されてしまっています。
採用銘柄数が増えれば、時価総額が比較的小さい企業にも採用のチャンスが与えられてくるでしょう。
そこにまた、投資のチャンスが巡ってくるのかもしれません。
まとめ
今回は、【香港】ハンセン指数「銘柄入れ替え」で大変動が起きる!というテーマで話をしてきました。
IT系の銘柄の比率が高まることになると、もちろんIT系の銘柄の影響を受けやすくなってきます。
アメリカは、中国系のハイテクの世界的排除に動いていて、ハイテク系が大きく下落するようなことになれば、ハンセン指数への影響は大きなものになるでしょう。
とはいえ、企業の拡大も著しいのでハンセン指数にとって良い影響がでると考えています。
10年ぶりに大きく比率が変わったので、もしかすると香港に世界から資金が集まってきて、大変動を起こすことになるかもしれません。
そのチャンスを逃さないように、今後も『ハンセン指数』の動向には注目していきたいと思います。
今日も読んでいただきありがとうございました。