こんにちは、Centです。
今回は米中貿易戦争第1段階合意の内容について完璧に解説していこうと思います。
米中両国は、2020年1月15日に、通商協議の第1段階合意をめぐって署名をしました。
でも、前予想などは熱心に調べていた人も多かった中で、署名されて、結局内容がどうだったか?
わかっていない人も、多いんじゃないでしょうか?
今回の合意で、気になることや、今後予想される問題点などをしっかりと考えていかなければいけませんよね。
そして、それがわかれば、アメリカと中国という大きな国の動きの今後の予想が立つので、投資などにも活かしていけると考えています。
そこで今回は、米中貿易戦争第1段階合意の内容と、今後考えられる問題点について、深堀して話していきたいと思います。
それでは、今回も、お付き合いくださいね。
合意内容をおさらい
第1段階合意では、中国の産業補助金などを含む構造問題には踏み込んでいません。
そして、制裁や報復関税の多くも、そのままになっています。。。
基本的には、関税はほぼそのままなんですね。。。
摩擦再燃のリスクを抱えた状態で、思惑だけが先行して第一段階合意に達したという考え方を持つ人が、多い傾向にあります。
しかし、それでも両国が合意文書に署名したこと自体が、大きな進歩でしたね。
対立激化への警戒感は、ひとまず遠のく形となったという感じですね。
合意をする前までの動きとしては、制裁と報復関税の掛け合いで、お互いに、ノーガードでボクシングをしてるような殴り合いでしたね。
市場も、緊張緩和を前向きに受け止めて入るような動きをしていて、一時的かもしれないですが「休戦」が20年の株高を後押しするとの見方をするアナリストが多いように感じます。
合意通りの上乗せは無理なのでは?
「中国経済への影響」という視点で第1段階合意を考えてみましょう。
まず注目されるのは、今後2年で米国製品・サービスの輸入を計2000億米ドル上乗せするということに中国側が承諾した点でしょう。
どのくらいの規模なんでしょうか?
17年の輸入実績1860億米ドルを基準に、20年に767億米ドル、21年に1233億米ドルを積み増す。
はっきり言いますが、この数字は、かなり鬼な数字ですね。
この数字の大きさから中国国内産業や市場への影響が見込まれ、果たして、この承諾事項が実現可能か?疑問視する声も多いですね。
例えば、エネルギーの輸入に関しては、2年間で合計で524億米ドルの上乗せが必要になるんですが、米国から中国へのエネルギー輸入が17年、18年にほぼ80億米ドルだったことを考えると、到達できない数字でしょうね。。。
普通に考えて、合計500億米ドル超の上乗せはほぼ不可能ですよね!
2年で2000億米ドルの輸入上乗せは、他国からの輸入分を“転換”するしかない?
中国は、アメリカ以外の他国との、貿易の関係を大きく見直す必要が出てくるでしょう。
中国が選ぶ道は、2つ考えられます。
- GDP総額の1.5%を占める「経常収支黒字」の減少を承知で輸入そのものを増やす
- 米国と競合する他国サプライヤーとの関係を見直し、米国に付け替えるか
1番は、赤字になってもいいから、とりあえず輸入の量を増やすということですね。
2番は、他の国から輸入している分を、アメリカから輸入できるものがあれば、アメリカ輸入に変えるってことですね。
現実問題から考えると、中国も、もちろん「黒字を出すためにビジネス」をしていますから、1番は最終手段であって、普通は2番を選ぶはずです。
「20年の難易度はそう高くない」としながらも、21年に関しては17年比で66%の輸入増に相当し、相当厳しいとの認識。
仮に、米ボーイングからの大量の航空機調達でかなりの部分をカバーできれば問題ないものの、それが不可能であれば、米中摩擦の再燃にもつながりかねないとした。
このことから考えると、中国政府がこの先、輸入奨励を目的とした補助金を導入する可能性がありますね。
- 豚肉の万洲国際(00288)
- 通信設備の中興通訊(00763/000063)
- スマートフォンの小米集団(01810)
この辺りの銘柄に、プラス要素として、追い風が吹いてくるでしょうね!
しかし、2番目のZTEという会社は、スパイ容疑も出ていて、米中貿易戦争のきっかけにもなった会社なので、注意が必要です。
まぁ、株価は、かなり強気な感じではありますね。
為替に与える影響を考えてみよう
為替に関しては、中国が輸出競争力強化を目的とした元安誘導を行わないと承諾した。
そして、米国側は中国に対する「為替操作国」指定を行わないことに同意した。
もしも、中国側が違反した場合は、米国による対中制裁関税の再発動につながるが、これはお互いに恩恵のある合意であると考えるのが普通ですね。
「プラザ合意」の二の前にはならないことを強調している。
1985年に行われた、「ドル高」是正に向けたG5各国の協調行動。結果的に急激な円高進行により日本の景気低迷を招いた。。。
アナリストたちは、人民元の対米ドル相場に関しては年内、緩やかな上昇傾向を見込んでいる。
そして、結果的に、これが中国の輸入拡大においてプラスになると指摘している。
元高ドル安に両政府とも持っていこうとしているということですね。
金融市場の開放でまずは外資持ち株規制撤廃
セクター別で考えてみると、対外開放が進む金融業への影響が大きいと予想されます。
どういうことか?といえば、銀行・証券・保険・資産管理・電子決済などで、米国企業などの海外企業を、国内企業と同等に扱うことに中国が合意したんです。
この合意は、かなり大きな一歩だったと考えています。
今までは、中国資本と海外資本は51:49の比率でしか、中国国内での会社が作れなかったんです(途上国では、よくある制度)
だから、何かのトラブルになれば、中国側が勝つようにできていたんですが、それが撤廃されたんですねぇ。。
今の流れがわかってると、こんなニュースも、「おおお!いよいよ始まったのね!」って感じるわけですねww
閉鎖的な、中国市場がかなりオープンに開かれたことを意味していて、国際的な信用の面からも、大きく前進したと言えるでしょう!
実際にどんなことが起きるの?
例えば、アメリカの金融機関による、単独出資の証券サービスや米格付け会社による中国の国債格付けなどが発表されるようになってくるでしょう。
実は、中国国内では、第1段階合意を「中国に有利」とする考えが多いんですよね。。。
金融市場の開放に関しても、
- 政府が、すでに推進している規定路線
- 結果的に国内業界の活性化や競争力の向上、高質の発展につながる
- 中国企業による米国市場の開拓にもつながる
とするプラスの受け止め方が目立つ。
しかし、競争激化は避けられないでしょう。
- AIAグループ(01299)
- HSBC(00005)
などには、有利に働くと考えるのが普通ですね。
一方で、中国国内の金融銘柄に関しては、短期的なマイナスの圧力がかかると考えています。
20年1-3月期中にも、中国当局が保険・証券・ファンド・先物などの領域で、資金だけでなく、外資持ち株比率の上限規制を全面撤廃すると考えられています。
さらに、米国に対して大幅な市場開放をしていくでしょう。
この流れから、中国国内金融機関は米国資本との強力な競争圧力にさらされて、米国企業による中国国内企業の買収が加速する可能性がある。
中国企業による、海外企業の爆買いが、今度は海外から、優良な中国企業の買収が増えてくるのかもしれないですね。
関税はどうなった?
年間輸入額1200億米ドル分の、中国製品に対する追加関税引き下げ(15%→7.5%)に同意したが、2500億米ドル相当に対する25%の追加関税はそのまま。。。
第2段階合意を達成すれば、制裁関税全てを解除する
とは、いってますが、、、
第2段階に関しては、まだまだ問題が山積みで、合意に向けた協議スケジュールも未定ですね。
まとめ
今回は、米中貿易戦争第一段階合意について話をしてきました。
今回の合意は、中国にとって不利なことだらけだったので、アメリカにとっては大きなプラスとなるでしょう。
もとはと言えば、アメリカと中国の貿易の黒字額で中国が明らかに儲かっている状態だったので、そうなる事はしょうがないと思います。
しかし、今回の合意は、中国が達成できるかもわからない、破格の数字で合意したわけです。
中国にとっては、マイナスしかありませんね。。
11月の米大統領選までは大きな動きがないとみられていますが、その後は再び風向きが変わるリスクもあります。
そして、個人的な、見解ですがアメリカには、まだまだ、ファーウェイ問題、ZTEなど問題がありますね。
どのタイミングで、カードを切ってくるのか注目しておかなければなりませんね。。。
今日も、ブログを読んでいただきありがとうございました。
タメになった、勉強になった、良い記事だったと思ったら下のボタンから、リツイートなどで、ぜひ拡散してください!