こんにちは、セントです。
今回は、中国国家主席・習近平の周りで起こっている動きについて、話していこうと思います。
最近の出来事といえば、
- 中国完全不利の米中貿易交渉第1段階合意
- 世界的な中国企業の締め出し
- 台湾への中国を無視したアメリカの行動
- 中国政府を批判した香港デモ
- ウイグル地区人権問題
細かいことを挙げていけばキリがないですが、最近の中国政府は、はっきり言って不満が溜まっています。
そして、中国の教育上、このようになっているのは全て、トップの人間が悪いというような考えになります。
2018年の春ごろから始まった米中貿易戦争ですが、あんなに盤石であった習近平(シー・ジンピン)の立場がここへきて、雲行きが怪しくなってきています。
だから、「中国の今」と、「2020年のポイント」をここに書き記しておきたいと思います。
完全敗北の「第1段階合意」
2019年12月13日に米中貿易交渉で「第1段階」の合意の内容がある程度、まとまりました。
第1段階合意の内容が中国国内に伝えられると、いくつかの保守派サイトを中心に反発が広がり、「李鴻章をつるせ」「李鴻章を海外に追放せよ」といった書き込みが殺到したみたいですね。
保守派というのは、簡単に言えば「中国が世界で1番」だと考えている人たちです。
広辞苑で調べてみると、
【保守】
旧来の風習・伝統を重んじ、それを保存しようとすること。
【リベラル】
個人の自由、個性を重んずるさま。自由主義的。
この、「李鴻章」という歴史上の人物の名前がよく登場している。
「李鴻章」とは
日清戦争後の対日講和交渉で全権を務めた清朝の重臣。
台湾と遼東半島を割譲し、莫大な賠償金を日本に支払う1895年の下関条約に署名したことで批判され、100年以上経過した今も、漢奸(漢民族の裏切り者)と言われ続けている人物なのです。
中国では、一般的にネットでの書き込みが全て監視されていて、中央政府にマイナスになるような書き込みは、削除が当たり前で、ひどいときには逮捕されることさえあります。
だから、ネットでの書き込みには必ず、隠語などが使用されるのが一般的です。
「李鴻章」という名前が何度も書かれているのは、中央政府の誰かを指している隠語ということになるのです。
そしてそれは、習近平国家主席の側近である「劉鶴(リウ・ホー)副首相」を指しているのです。
米中貿易交渉の責任者である劉鶴(リウ・ホー)副首相は、大幅な譲歩をして中国完全敗北の合意内容だったので、中国のネットユーザーは、李鴻章のような「漢民族の裏切り者」と言っているわけですね。
米メディアが伝えた合意内容を確認しておこう
「アメリカの農作物を大量購入」の義務と、「中国が合意をちゃんと守っているかどうかをチェックする権限」をアメリカ側に与えたのです。
中国側には義務があって、アメリカ側には義務もなくて、権利を行使することができるなんて「まるで現代版の下関条約」と批判する意見もあったくらいです。
そして、「李鴻章の後ろにいる西太后を打倒せよ」といった書き込みもたくさん出てきています。
下関条約が締結された当時、決定したのは清朝の最高権力者、西太后だったといわれている。
そして今、李鴻章の後ろにいる西太后は、もちろん「習近平」を指している。
隠語で書かれていても、必ずこのような書き込みは削除されてしまいますが、それでも、どんどん書かれていくので、削除が追いつかない状況だそうですね。
中国の皇帝は崩れてしまうのか?
毛沢東を崇拝する習近平政権の、共産党への権力集中を推進するやり方を批判する書き込みはこれまでもよくありました。
しかし、これまでの習近平政権への批判は、「天涯社区」といわれる、改革派学者などが集まるサイトが中心で、保守系のサイトは習近平政権を強く支持していたのが、当たり前でした。
中国では保守派の人数は改革派の数十倍おり、公務員を初め、中国の良い時代を知る老人、退役した軍人などといわれている。
いわゆる、日本では「ちゃんとした職業の人」のほとんどが、保守派だといわれていますね。
こうした保守派の存在が、改革派の間で不人気でも「習政権」がそれなりに安定して政権運営できた理由の1つですね。
しかしながら、2018年春から始まった対米貿易交渉で、保守派の習政権に対する信頼は少しずつ薄れていっているのです。
なぜならば、期待していたアメリカとの全面対決は全くなく、逆に弱腰的な姿勢が目立ったからだ。
保守派の人は、中国が世界で一番強くて、世界最強じゃないと納得できないということですね。
アメリカの反中国の動き
- ファーウェイ排除
- 関税の引き上げ
- 新疆ウイグル自治区問題への干渉
- 台湾への軍設備の販売
すぐに、反発するイメージの中国ですが、アメリカから屈辱的なことが連続して起きているのに、アメリカにほとんど報復せず、不平等条約に近い内容で貿易交渉に合意してしまいました。
習近平支持者は、ガッカリした人が多かったみたいですね。。。
タイミングが悪い香港デモ
2019年春から香港で始まったデモへの対応についても、中国保守派の不満が高まっているといわれています。
中国メディアは香港の情報を遮断していて、デモに参加するのは「ほんのひと握りの暴徒」などと報じていました。
実際に、中国本土の人たちと話していると、なんで香港がこのようになっているか?わからない人ばかりでした。
しかし、中国本土の報道とは裏腹に、あらゆる手段を使っても沈静化できてませんよね。
そして、中国と香港政府はデモが始まった数カ月後に、デモ隊が求める「逃亡犯条例改正案の撤回」という要求を受け入れた形になりましたね。
中国の政府が折れた形になったわけです。
習近平政権は8月に、香港に隣接する広東省に10万人単位の武装警察部隊を配置しましたが、国際社会から厳しく牽制されたので、軍を動かさなかった。
ネット社会じゃなかったら、軍隊が香港に入ってきて、大量に、、、考えると怖いですけどね。
区議会選挙の大敗
11月24日、香港区議会議員選挙で民主派が8割以上を獲得して圧勝しました。
香港政府から、中央政府に報告していた内容は、親中派が必ず勝ちますという予想だったそうなので、中国政府は、かなり焦ったといわれています。
2012年秋に発足した習近平指導部は、直後に「中国の夢」というスローガンを打ち出しました。
個人の成功を表す「アメリカンドリーム」と違い、「中国の富強、民族の振興」を意味する言葉だ。
そして、習近平政権は今まで我慢してきた、外洋拡張路線を展開しています。
領土の主張を含めて、周辺国とのトラブルを恐れず、強硬姿勢を貫いた。
この強気なやり方は、国民の民族的自尊心を高揚させていました。
そんなやり方が、高度経済成長で自信を持ち始めた多くの中国国民から歓迎されたことは事実ですね。
しかし、外洋拡張や民族主義をあおる政策は、国民の政権への支持を一時的に集めたが、中国を国際社会から孤立させてしまったのです。
このような強引なやり方は、米中貿易戦争の原因の1つとなり、香港のデモや、外資の撤退などによる国内の景気低迷、そして、台湾独立派の台頭につながっているわけですね。
共産党内から習政権を疑問視する声が公然と出てくる
2019年は、これらの問題が一気に表に出てきた、習政権にとってはあまり良い年ではなかった1年でしたね。
しかし、考える方を変えると、これまでのツケが回ってきただけだと考えた方が自然でしょうね。
実際に、2019年夏以降は、中国の指導者の口から勇ましい民族主義をあおる言葉はほとんど出ていません。
その結果が、習近平自身が「西太后」と批判されるようになったわけです。
政権の最大の支持基盤である「保守派」がぐらついているのは、権力を何よりも重視する、共産党指導者にとってかなり深刻な問題といえるでしょう。
中国政府が今置かれている状況と言うのは、押しても引いてもどちらにしても悪い結果になってしまうと予想することができます。
「国際社会に歩み寄れば社会問題は解決に向かっていくけども、支持者が大量に離反してしまう。」、一方で「強硬策に出れば、問題の深刻化が進んでしまう」という、どちらでもバットエンディングといった感じです。
2020年のポイント「3つの選挙」の勝敗
2020年、3つの重要な選挙がある。
- 1月の台湾総統選
- 9月の香港立法会選
- 11月の米大統領選
台湾は民進党の蔡英文(ツァイ・インウェン)総統が優位に戦いを進めています。
再選すれば、中国からの独立志向をさらに前面に打ち出し、台湾海峡の緊張は高まると考えられます。
香港の立法会選挙は親中派に有利なシステムのため、民主派が過半数を取ることは難しいと言われています。
しかし、デモで有権者の当局に対する不信が高まり、民主派が逆転する可能性も否定できません。
米大統領選では、中国が最も嫌がる「ドナルド・トランプ大統領」の続投が濃厚でしょう。
3つの重要選挙は、反中派と親中派との対決の形のような感じですよね。。。
香港の法制度は明らかに、親中派が有利になるようにできているので、そこは抑えられたとして、台湾とアメリカに関しては、反中派が有利でしょう。。。
2020年は、中国の習近平政権にとって大きな意味のある一年になっていくでしょう。。。
選挙の結果を軸に、世界の相場にも関わって来ると思いますので、注目していきたいですね!